【D】口述試験シュミレーション

先週、僕の人生2度目のDSH試験の1次試験・筆記試験を受験致しました。結果発表がまだの状態ではありますが、今週に入ってからは、2次試験の口述試験対策が行われております。今回は、DSH1次試験後の授業と口述試験シュミレーションについて書きます。

僕は前回受験した際に、「DSH1」という試験自体は合格扱い、しかしミュンヘン大学(LMU)の僕が行きたい学部・学科では入学が認められていないスコアでした。口述試験自体は受ける資格があり、当時お世話になったクラスの先生も「練習にはなるし、絶対に参加すべき!」と言われて、2次試験を記念受験致しました。そして、その際に見事「玉砕」しました。口述試験の内容は、元クラスメイトたちから「とても簡単だった」「面接試験の雰囲気は和やかだった」などと聞いていたので、完全に油断していました。僕の試験の際は、内容が難しかったことに加え、恐ろしい圧迫面接のような感じでした。試験後に、他の受験者たちと様子を話して、難易度が違い過ぎて「フェアじゃない!」と怒りの感情が湧いたことは、未だに記憶に残っているほどです。

現在のクラスメイトは、ほとんど今回がDSH初受験のようだったので、一応試験経験者である僕が、クラス内で過去の様子がどんなだったか話す機会がありました。僕は自分自身の経験だけでなく、他の当時の受験者とも色々話して、どんな課題だったのかも記憶に残っていたので、僕が知る限りの情報を提供しました。結構多くのクラスメイト達が興味関心を持って聞いてくれた…はずです。

授業では、先生が「口述試験で是非使うべき表現」をまとめたプリントを配布してくださいました。そして、それらの表現を実際に使ってみましょう!ということで、輪になるような感じで座り、先生が用意したテーマについていくつか議論しました。誰かが言い間違いをする度に言い直しをさせられ、その後全員が同じように復唱、そしてその表現の「言い換え表現」を順に当てられ発表しました。その他、議論の課題をした際は、クラスメイト達が割と恥ずかしがってか、大人し過ぎてあまり話さなかったので、僕が一肌脱ぎ、積極的に場を回しました。先生からは「あなたなかなか素晴らしい仕事をしてくれたわ!」と笑われながら言われました。先生は手元のメモに、誰がどれだけ、どのような表現を用いたかを記録なさっていて、ポイントを付けていらっしゃいました。その際のポイントでは僕がダントツ1位だったようで、少々お褒めを頂けました。

その後、口述試験のシュミレーションが行われました。予め先生にシュミレーショントレーニングをしたいと志願した生徒6名のみが行いました。クラスメイト全員に注目され、恥ずかしい感じにはなりますが、非常に有意義な機会かと思ったので、僕は参加希望を出しました。

DSH試験の口述試験は、自らが勉強したい分野に関係する内容が出題されます。DSHはそもそも大学や大学院に進学する人が主に受ける試験です。大学・大学院で何を勉強したいのかを予め申し出ておいて、試験の時間になるとその学部や学科の内容に関係するテキストが配布されます。10分間で配布されたテキストの内容を要約します。テキストは10分経った後に回収されてしまいますが、小さなメモ用紙が配られるので、その紙には自由に書き込みが許されますし。面接官と対面した際に、自分のメモを頼りにテキスト内容を要約したものを発表、そして内容に関連する質問に答える、という流れです。

シュミレーションでは何故か僕が1番手に呼ばれてしまったので、嫌ですと断りました(爆)そして他のクラスメイト達から始まったのですが、ビックリするくらい落ち着いて話せていたし、よく出来ている感じでした。先生からは試験官目線で、結構厳しいことが言われましたが、僕の目からは「合格間違いなしだろうな!」という感じでした。

授業でのシュミレーションは、クラスメイトたち全員に見守られながら、選ばれた1人が前で先生と1対1で試験シュミレーションを行いました。シュミレーション後に先生から本人に「手応えはどうでしたか?自分自身を評価するとDSH1?DSH2?DSH3?」と聞きました。僕が見た感じとても良く出来ていたと思っていたクラスメイト全員が、かなり謙遜して「不合格」だの「DSH1」と自己評価を下げていましたが、先生からは当然「そんなことはありません。今のが本番だとすれば私はDSH2を付けますので、合格です!」と言われていました。

その後、どのポイントが良かったのか、そしてどこが悪かったのかをクラスメイトたちで発表し合いました。クラスメイトたちが十分な意見を出せなかった場合に、先生からの試験官目線のコメントが紹介されました。合格ラインだったと評価されていた生徒たちに対しても、結構辛口なフィードバックがありました。

  • 「動詞のポジションがおかしい!」
  • 「主語が単数なのに動詞が複数形になっている!」
  • 「意味不明な変な表現があった!」
  • 「質問に答えられていない!」
  • 「発音が悪い!」
  • 「テキストの要約の課題なので、テキストに書かれていないことを言わない!」
  • 「私がアドヴァイスした点が生かされていない!」

など、生徒たちだけでは気付けなかった点が次々に指摘されました。指摘された本人も勉強になったでしょうけれど、クラスメイトたち全員にとっても目からうろこな感じだったように思われます。

僕の番になり、課題テキストが渡された瞬間、固まってしまいました。「テキストの分量多過ぎません⁈」という、前回の口述試験受験時と同じプレッシャーに襲われたのでした。僕が日本人だからか、日本に少々関連する内容のテキストを先生が用意してくださっていたようで、一瞬安心しました。漢字とひらがなとカタカナの違いを説明するような箇所などは、まぁ余裕だろうと思っていました。が、しかし!僕は大事故を起こしてしまうのでした。

僕には大きな欠点があります。僕は別にいわゆる「あがり症」ではありません。しかしながら、とある状態に陥ると、記憶が激しく飛んでしまったり、思考が停止してしまうのです。教室の前でみんなが見ている状態で、さらに教室内で「(僕にとって)見てはいけないもの」を見てしまい、完全に頭が真っ白になってしまったのでした。クラスメイトたちが非常に良い感じでシュミレーションをしていた中、見事なまでに「最悪な例」を演じました。

先生からは「あの、あなたってあがり症?あまりにも私が想像していたあなたの姿と違い過ぎて驚きました!」と言われ、僕は「今のは絶対不合格ですね?」と応答しました。どの点が良かったのか不明ですが「いえ、DSH1は問題ないです。ただ、これではDSH2は厳しいですね!」と言われたのでした。

先生に言い訳はしませんでしたが、本音は「このテキストの内容だったら、多分もっとマシな要約は出来たと思うし、こんな酷い状態にはならないはず」と少々の自信がありました。試験中、とあるクラスメイトの顔さえ見なければ…という思いがありました。シュミレーションが終わった途端に急にベラベラ口数が増えたので、先生には「彼はきっとあがり症だ」とでも思われたことでしょう。

僕の後には、僕が個人的に「この2人はクラスの中でダントツ!」と思っている秀才の生徒たちがシュミレーションを行いました。そのうちの1人は、先生が「凄過ぎて鳥肌が立ちました!皆さん、彼女は間違いなくDSH3です‼」と言い、拍手喝采状態になりました。テキストの長さは僕と同じくらいの長いテキストで、更に内容がマニアックでしたが、彼女の要約は素晴らしく、質問の受け答えも完璧でした。

最後の「トリ」は、僕が「クラス1番の秀才」と思っている女の子でした。僕は彼女とよく話すし、クラスメイトの中では一番仲良しかもしれません。授業後の時間に一緒にご飯を食べに行ったり、口述試験対策の自主練もした経験があります。物凄い努力家で、情熱の凄さを個人的に知っています。彼女と色々話す度に、とにかく彼女が、ドイツ語を勉強し始めてまだ1年も経っていないとは思えないくらい、「レヴェルが違う」「語学センスがある」とはこういう人のことを言うと思わされる程です。でもそんな彼女も、クラスメイト達の見ている前で僕に次ぐくらいの大事故を起こしました。信じられないくらい要約がまとまっていなさ過ぎて、メモを丸読み、そしてそのメモもきちんと整理が出来ていなかったのか、順序も入り乱れ、とにかく「らしくない」光景だったのでした。質問は、テキストに書かれてない内容ばかりで、「あなたの国ではどうですか?」「あなたはどう思いますか?」などの簡単な質問ばかりに切り替わりました。が、それでも明らかに緊張している様子が見て取れ、あまり上手に答えられていませんでした。

先生は、僕の時以上に驚かれていました。

「落ちたということはありませんが、先程の評価は残念ながらDSH1です。私はあなたのことをこの2ヵ月見て来て、明らかに実力が十分に発揮されていないと思いました。さぁ、緊張に弱い人は本番に向けてどうすれば良いかしら?」と僕の方も見ながら言ったので、僕が答えておきました。

「彼女はずっと試験が不安で、ここ最近ほぼ寝ずに勉強しているそうです。ストレスが凄そうなので、ゆっくり寝たりリラックスすべきです!」と。すると先生からは「なるほど、じゃあ今日はドイツ語やら試験のことは考えないことですね。睡眠は大事ですし、勉強禁止!寝なさい!」とのアドヴァイスがありました。

試験直前に語学学校の先生から勉強をするなと言われる、まさに異例な事態を目撃しました(笑)

先生が授業終わりに、彼女に励ましの言葉を掛けたところ、泣き崩れてしまいました。

「あぁ、私の今日の要約は最悪だった!明日の試験落ちたらどうしよう!」と泣き叫んでいたので、僕と先生が全力で否定しておきました。

先生は、最後まで教室に残っていた僕に対しても優しいアドヴァイスをくださいました。

「あなたたち、授業の終わりに教室で残って特訓してるんでしょ?今日はその特訓しないでね。ドイツ語には触れず、ストレスをとにかく最小限にしてね!あなたたちは合格出来る!」と言い、僕には「明日の口述試験の時間が午後に当たったなら、明日の午前中は授業に参加してもう1回シュミレーションしなさい」と言い、教室を後にされました。

僕は「ギャラリー」がいない状態なら、多分大丈夫な気がしています。自分自身の悪い面が、完全にクリアになりました。それよりも、そもそも先日の筆記試験の結果も分かっていない状態で口述試験対策をしていますが、また筆記試験の結果がDSH1だったらどうしよう…という不安の方が大きかったです(爆)

僕が現在お世話になっている語学学校の最終クラス「Stufe6」は、DSH試験が「修了試験」扱いで、評価がDSH1でも語学学校のプログラムは「修了」となります。僕はスコア「DSH3」で合格することが最終的な目標なので、DSH3が取れるまではきっと語学学校には通い続けることでしょう。DSH1だった場合には、即来月のStufe6クラスを再度申し込むか、別の語学学校に行くなりしようと考えています。そして罰として当面旅行なし!などのペナルティも検討中です。

とにかく、まず筆記試験の結果発表を楽しみにしつつ、明日は口述試験を楽しめるように、今夜は精神を整えておきます。

僕の運命やいかに⁈


にほんブログ村