【D】健康保険組合とのバトル終結

Leben

本日、昨年までお世話になっていた、そして長きに渡って争っていた健康保険組合より嬉しい手紙が届きました。自力では解決不可能かと諦めていた件について、朗報と思える知らせが届いたのでした。今回は「バトル終結」について書きます。

ドイツで長く暮らすには、滞在許可証を得るためには、法律で定められた健康保険に加入する必要があります。健康保険サーヴィスを提供している「健康保険組合」は複数存在しており、ご自身の好きな健康保険組合を選び、契約します。僕は、ドイツで働き始めた会社のその当時の同僚からの勧めで、BARMER(GEK)に加入しました。ドイツ在住者の間で、どの健康保険組合が良いだとか良くないだとかの議論がありますが、正直僕は大きな違いは分からないままでいましたし、移住してからというもの、ずっと同じ健康保険組合にて10年以上お世話になりました。しかしながら、そんな長くお世話になった健康保険組合をついに「解約しよう!」と思ったのは、今から2年ほど前に送られて来たとある書類が原因でした。「未提出の書類・未納分の保険料があり、支払の必要があります。あなたの保険料は月4300ユーロ×月数で計算されます」との内容でした。

僕は以前、キプロスに住んでいた期間がありました。後に問題へと発展するそもそもの原因は、僕がキプロスに移住する際に、ドイツの住民票を抜き、健康保険組合を解約しなかったことでした。理由としては、僕はキプロスでは短期間のインターンシップに行くだけだし、またドイツに戻るであろうと考えていたことと、ドイツで手に入れた「いわゆる永住権」を簡単に手放したくなかったためでした。ドイツ国内での住所と健康保険の支払いが必要となるので、協力してくれる友人宅にて住所登録をさせてもらっていました。短期間のつもりだったのが結局、インターンシップが終了した後に正社員登用されることとなり、そのままキプロスで長く住むこととなったのでした。そして、ドイツにも登録住所がある、という状態でした。

キプロス滞在中、「いわゆる永住権」を失効させないようにするためにドイツには何度も行っていました。健康保険組合から頻繁に手紙が届いていたこともあり、一度健康保険組合の事務所にも向かいました。その当時の状況を「今後しばらくのメインの滞在はキプロス(納税義務はキプロスにて発生)」「ドイツでの収入なし」と説明し、その後ドイツでの再就職をするまで、最安値の保険料の月約200ユーロの支払いをしていました。キプロス滞在も結局通算約2年程となりましたが、どのくらい滞在することになるか分からなかった上、いずれはきっとドイツには戻りたいと思いながら、必要な投資ということで当時は迷いなく払い続けていました。その後結局、キプロスで勤めていた会社をクビになり、ドイツでの再就職の予定が延びに延び、数ヵ月間の日本滞在を経て、再度ドイツに戻って来ました。さらに数ヵ月間の無職期間を経て、ドイツでの再就職を果たし、2021年8月より健康保険組合への支払いは会社経由(給与天引き)と切り替わりました。

キプロス滞在時には毎月銀行口座から自動引き落としで、さらにミュンヘンでの再就職後は、給料天引きとなっているので未納分はないはずです。併せて、何度も何度も手紙で健康保険組合から「収入証明書の提出」を求める連絡があったのでした。収入証明書が提出出来ない場合は、月々の健康保険料の最大値での請求が行われる、とのことでした。月々4000ユーロを超える健康保険料なんて、僕の収入では到底支払えるものではありません。

ミュンヘンの健康保険組合の事務所を訪れ、改めて僕の状況を説明をしました。僕の人生がグチャグチャなので、僕を知らない人にも納得頂けるように説明するのには、非常に苦労致しました。窓口の方は一応は納得はしてくださり、僕が事務所に訪れた件はシステム上に残してくださったようでした。しかし、その後何度も何度も「収入の証明」を求められ、問い合わせた際には税務署に行くようにとのことを案内されました。

健康保険組合から届いた手紙を手に、税務署に行きますと「あなたはキプロスや日本にいた期間はドイツでの収入もなく納税義務もないし、この期間納税義務がないという書類を出すことは出来ない」と、至極真っ当なことを言われたのでした。さらに、僕のデータがミュンヘンで確認出来ないと言われてしまったのでした。税務署の方からは、衝撃的なことも言われました。「この国のデータ管理の残念なところです。あなたの身はミュンヘンに引っ越して来ていてるけれど、データがいまだにミュンヘンに移管されていないんです。なので私はあなたのデータにもアクセス出来ないんです。以前住んでいた街の所轄の税務署なら、もしかしたらあなたに良いアドヴァイスが出来るかもしれない…」とのことでした。

「僕は住民登録はすぐに行っていますし、既にミュンヘン市内には2年程暮らしていますが…」と言いますと、余計に税務署職員さんは大きなため息をつかれました。色々と試してくださったところ、どうやら僕の名前を発見してくれたそうでした。僕と同姓同名はきっとドイツ国内にはいないであろうということで、どなたかに電話連絡をされ、電話の先の方がアクセスしてくださっているようでした。すると、僕がフランクフルトに最後に住んでいたアパートの住所を言われ、「あなたここに住んでいたことがありますか?」と尋ねられたのでした。しかし僕がフランクフルトに住んでいたのは、キプロスに行くよりも前の時期です。税務署の情報で残っている僕に関する「最新情報」がそのフランクフルト在住時のものだったようです。

税務署職員の女性は、とても親切な方で「この健康保険組合からの手紙は色々とおかしいところがある!私が一度電話をしてあげる!」と言ってくださいました。これは助かる!と思って非常に喜んだのも束の間、健康保険組合の電話サーヴィス係の回線が混み合っているようで、繋がりませんでした。非常に残念ではありましたが、結局ドイツ税務署のシステム管理の残念な部分が露呈しただけで、特に何も進展がないまま終わりました。

僕はミュンヘンに来てからたったの2年程ですが、2回転職をしております。転職をすると、新たな会社の事務の方に保険番号等をお知らせする必要があります。2度目の転職を機に、健康保険組合も変更してやろうと思い、健康保険組合を変更の手続きをしました。健康保険組合との契約は、過去1年以上契約期間があれば切替が可能です。

今後新たにお世話になる予定の健康保険組合から「私たちの健康保険組合へようこそ!健康保険証を発行するので、あなたの顔写真をウェブサイト上でアップロードしてください」と連絡があり、手続きを完了したところで、さらに数日後お手紙が届きました。

「当健康保険組合への加入手続き破棄のお知らせを受け取りました。もしも健康保険証が届いている場合は、速やかに破棄してください」とのことで、「何事?!」と思い、健康保険組合に問い合わせました。すると、以前加入していた健康保険組合(BARMER)のスタッフからの連絡で「彼は変更しないと言っている」と連絡したとのことが発覚、いつ・どの営業所のどのスタッフからそんなことを言われたのかを問い合わせました。

結局、BARMER担当者からの契約変更への妨害行為があったことが確認出来、無事に新しく別の健康保険組合への切替が完了しました。その後、ミュンヘンのBARMER営業所の方々から電話や手紙がかなり来ました。何度も何度も同じことを説明するのも面倒になり、ある番号からの電話は無視するようにしました。

健康保険組合の契約を切り替えて3ヵ月程が経過したところで、さらに未納分のお知らせのお手紙が届きました。過去に遡って納付した金額は、月約4300ユーロに再計算されたものを支払うように求められました。手紙には「こうならないようにするために、こちらが指定する期日までに税務署からの書類をアップロードするように。尚、期日までに書類が提出されない場合は、本書で案内している内容が確定となり、当健康保険組合はあなたへの請求権が発生します」と書かれてありました。

僕は、オンライン上の書類の提出フォームから、僕から書いた「お手紙」(PDFファイル)を添付して送信しました。僕からのお手紙の内容は、大まかにはこうです。

「これまで2年程に渡り、書類のやり取り及び適宜御営業所にも足を運び、直接担当者と話をしてきました。何度も何度も同じ内容を伝えています。税務署からの書類については、提出出来ません。当時ドイツに居住していなかった私が、ドイツで収入がなく納税義務がないという書類を、ドイツの税務署は発行しません。役所がそもそもそのような書類を発行することはない上に、「なかったこと」を証明するのは困難です。税務署職員の方に以前頂いた手紙を見せたところ、非常に不可解な点があるとのことで、電話をしようとしてくださいましたが、御サーヴィスコールセンターには繋がりませんでした。ちなみに、お示しの金額を支払えるだけの十分な収入・貯蓄はありません。それでも私に過去に納付した金額までも高額な額に再計算した金額を請求出来る根拠をお示しください」

わざわざ文中には書きませんでしたが、むしろ裁判で訴えてくれと思ったのでした。請求されても支払えないものは支払えませんし、支払いを無視し続けていたらいずれ裁判に呼ばれるだろうと思っていました。

ところが、本日郵送されて来た書類を見て驚愕しました。

「対応にかなり時間が掛かり、申し訳ございません。あなたが当該期間ドイツには住んでおらず、キプロスで滞在をされ、さらにキプロスで働いていた際には、キプロスの保険会社で付保されていました。支払い義務のなかった期間の支払いについて、返金手続きをします。あなたの銀行口座情報を至急ご連絡ください」

とのことでした。

いきなり何が起こったのでしょうか。月約4300ユーロ×約2年分支払いなさいという連絡から一転、これまで僕が払って来た金額分が「返金される」となったのでした。

きっとBARMERにとって、僕みたいな顧客は初めてのケースだったことでしょう。僕がドイツ国外に出て、ドイツ国内の住所を喪失・さらに健康保険組合解約の手続きをしなかったばかりに、随分と面倒なことになりました。それに関しては申し訳ございません、という気がしますが、その他のBARMERの対応は色々とおかしいところがありました。今回僕からの「お手紙」で色々指摘させて頂きましたが、効果があって良かったです。

近日中にBARMERの営業所を直接訪れ、今後もうこれ以上の争いがないかの確認と、口座情報を連絡して来ます。

これで最終的な決着でありますように。

***ドイツ在住で、当記事をご覧くださった方へ***

何かしらの事情で今後ドイツを長く離れる場合は、住民票を抜く作業(Abmeldung)と、健康保険組合の解約(Kündigung)はお忘れなく。

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