今年2023年10月中旬、大学入学時から始めていましたドイツ語コースは、本日で全ての授業を終えました。今回は、クラス終了後レヴューについて書きます。
僕は、同時に2つの語学コースに参加しておりました。そしてこの2コース終了を以て、僕の人生最後のドイツ語の語学学校生活を終了とすると決めておりました。先日「Wissenschaftliches Schreiben C1/C2」コースが先に終了し、「Deutsch für Studierende der Rechtswissenschaften B1/B2」コースは、週1回だけの全10回コースだったので、日にちが少々ずれて、本日終了となりました。このコースは実は、僕が語学学校「dkfa」に通い始めた頃にパンフレットで見つけて、大興奮・感動し「いつか絶対受けたい!」と憧れを持っていたコースでした。参加条件が大学生であること、法学部生であることなどと書かれていたので、随分と長い時を経てようやく受講出来るようになったわけでした。
今回のコースの担当をしてくださった講師の方は、語学学校「dkfa」の直接の先生ではない外部講師のHerr Dr. Weidlichさんでした。僕が同時に参加していた「Wissenschaftliches Schreiben C1/C2」コースと同じ先生だったので、僕は週3回この先生にお世話になっていました。こちらのコースもオンラインコースだったのですが、僕がカメラモードをオンにして参加することがなかったので、誰も僕の顔は知らず…という状況のままコースは終了しました。
コース名にB1/B2とあるのですが、実際ドイツの大学の法学部入学に求められるレヴェルは、ドイツ語最高レヴェルC2レヴェルと言われています。C2レヴェル相当と認められるものとして、DSHであればDSH3、Test DaFであればTDN5があります。B1~B2だと明らかに低過ぎるのでは、と思いましたが、授業を最初から最後まで受けてみて、なんとなくその意味は分かったような気がします。小難しい法律科目向けの表現は習うものの、クラスで習う文法そのものは、まさにBレヴェルの内容でした。ちなみに、コースの参加者でBレヴェルと思われる方はいませんでした。ドイツの大学の法学部所属であれば当然ではありますが、確実にC1レヴェル以上の知識があるであろう生徒たちばかりでした。
クラスの受講者は僕を入れて計18名で、主にミュンヘン大学(LMU)の法学部の生徒たちが参加していました。1人カナダから参加している大学院の生徒と、ロシア人の現役弁護士たちが参加しているのが驚きでした。非常に出席率が悪いクラスで、全員が揃ったことはまずなく、参加者が最も多い日で10名程度だったのではと思われます。平均して6名程度、最終日は「いつもお馴染みのメンバー」となっていた5名のみの参加と、割と物寂しいクラスでした。
僕にとって、このコースは数年前からの憧れのコースではありましたが、結構ガッカリするところの多いコースでした。まず、クラス参加者があまり真面目に勉強をしている雰囲気ではなく、授業の進行が緩やか過ぎました。また、やたらと「グループワーク」と称して、少人数に分けられたときに雑談になりやすかったことでした。クラス参加者は偶然ロシア人とウクライナ人が多く、ロシア語でおしゃべりを延々とされたときは、僕はかなり困ってしまいました。自分が当てられたところが分からなくても、すぐにギブアップして他の生徒に回答権を譲らずに、よく分からない意見やら主張をして時間を取るわ、他の生徒が当てられているのに「私がその問題答えたい!」と強引に横から答えるのはロシアやウクライナでは普通なことなのでしょうか?今回のコースには、以前参加した別のコースで一緒だった、元クラスメイトのウクライナ人の男の子が1人いました。僕はその子のことが本当に苦手だったのですが、案の定このクラス内でも独自の存在感を放ちまくり、ますます彼のことが嫌いになりました(爆)何度か同じグループになった際に「えーっと、ドイツ語で何て言えば良いのか分からないからロシア語で言うと…」という感じで、その後ドイツ語で会話することはなく、ドイツ語レッスン感ゼロにされてしまいました。僕や別の生徒が「あなたたちはそれで良いかもしれないけど…」と会話に割って入ろうとしても、止まりませんでした。そして、別のロシア人たちとグループになった際も、やはりロシア語で話され、プレゼンテーションもグループとしては結局まとまったものがなかったので、独自の意見のみを採用したグダグダなものを勝手に行ったり、先生が話されているのに被せて話しまくったり、不愉快極まりない状態が続きました。残念ながら、先生がその点について注意なさることは一切ありませんでした。幸運だったことは、授業の回が進むにつれ、授業参加人数はどんどん減って行き、キャラが強烈なロシア人とウクライナ人たちが後半にはほぼ参加しなくなったことでした。こんなことを言うのは失礼極まりないことは承知ですが、いなくなってくれて本当に嬉しかったです(爆)
クラスの内容としては、前半は「各国の法律家の仕事とドイツの法律家の仕事の比較」や、大学の法学部の各国の違いなどについてプレゼンテーションしたり、作文を書いたりしました。後半では、ドイツ語で法学を勉強するには外せない「Gutachtenstil」の課題を多くこなしました。僕は日本人なので、日本のことについて色々と作文を書くわけですが、自分の知識として知っていた部分と、改めて調べなおして、色々と新しく知ることが出来るものがあったのは面白かったです。自分の母国の制度とドイツとの比較というテーマは面白かったですが、「あなたの国では?」と、自分の出身国だけについての作文の課題がいくつか出たのは、退屈に思いました。クラスで発表して、誰が日本の法科大学院制度について知りたい人がいるのだろうだとか、日本の公証人について誰が知りたいのだろうだとか色々と考えてしまいました。ロシア人の参加者が複数いたので、ロシアの制度について書かれた作文について触れる機会が多くありました。しかし、とある誰かが書いた作文について、ロシア人弁護士たちが大騒ぎし出した回は、かなりカオスでした。
Gutachtenstilは、僕自身法律科目は「副専攻」ではありますが、毎週民法の授業で触れております。結構「Definition(定義)」「Subsumtion(包摂)」の部分が非常に難しく、僕は毎週法律科目の授業を聞いていて苦労している部分です。語学学校のコースでその苦手意識を埋めたいなと思ったのですが、先生が法律学の専門の先生ではないということもあってか、僕の期待するものではありませんでした。「Subsumtion(包摂)」は、これでもかっ!というくらい細かく、そして割と長めに論じる必要がありそうですが、先生はあまりそこを重視しないというか、十分な指摘がなかったように思えました。他の生徒たちのレポートも、本当にドイツの大学の法学部でお勉強されていらっしゃるのかと疑いたくなる程短く、不十分な内容のものばかりでした。そして、先生からの指摘ももちろんありませんでした。
課題の問、主に教材として使っていたものも実際に大学の法律学の勉強には不十分と感じる内容でした。先生が行える範囲は、僕ら生徒が書いた文章を、校正のプロとして、専門用語を使って格好の良い文章に直してくださることくらいだったのではないでしょうか。解答例が非常に短い文ばかりで、明らかに内容的に不十分なものでした。僕が独自で購入した本で自習した方が良さそうな気がしました(爆)課題の内容も、GOPの内容に対応しているとはとても思えない内容でした。課題で提出したものは「グループワーク用課題」として全員に晒され、生徒たち同士であーでもないこーでもないと議論する時間が多く設定されていました。僕の文章は、先生の評価では概ね8点~9点(10点満点中)ばかりで、決して悪い評価ではなかったのですが、生徒たちでの話し合いの際には称賛されたりやたらけなされたり、様々でした。果たして大学の法律学のテストでどのくらい通用するものなのか、非常に気になるところです。
最終的にはクラス参加人数は5人しかいない状態でしたが、他の生徒たちは満足されていたのでしょうか。僕は正直、別に参加していたコース程の収穫はなかったような感じがしました。ずっとこのコースに憧れていてようやく受講出来た!という喜びは当初あったものの、後半は気力・体力切れで宿題をしないまま授業に参加してしまうことがほとんどで、さらにそれでも十分対応出来てしまえる難易度だったので、全ての授業を終えた今、スッキリした達成感は味わえておりません。クラスメイトたちの雰囲気も合わせて、残念ながら僕にとっては不満の残るコースでした。
このコースでの成績証明書は、年明けに頂けるということです。ドイツ司法試験の成績表っぽく、18段階評価がなされるそうです。ある意味楽しみです。
ところで、僕にとって「人生最後のドイツ語語学学校生活」がこれをもちまして終了となりました。自分自身で勝手に決めたことですが、今後はもう、ドイツ語の語学学校というところに勉強しに行くことはありません。僕の人生最後と決めたドイツ語コースの、最後の授業はオンラインコースで、結構あっさりした終わり方だったのですが、悔いはありません。
語学学校での学習はこれを「最後」としますが、もちろん僕のドイツ語学習そのものはこれで終わりではありません。今後は、大学でドイツ人たちに混じって学問に触れ、さらなる高いレヴェルを目指します。