仕事が連休のため、9ユーロチケットの旅を楽しんで参りました。今回で2回目です。日本の「青春18きっぷ」のごとく、鈍行列車と特急料金の発生しないRegionalexpress(快速列車のような地域間列車)のみを利用してのんびりと旅を楽しんでいましたが、今回は途中ギブアップをしてしまいました。今回は、9ユーロチケットの旅の格安回避方法について書きます。
前回の旅行では、かなりタフな旅行ではありましたが、無事に予定したルートを完乗して達成感がありました。実は前回の旅行は、祝日が絡んで大変な目に遭いました。祝日の存在はまるで頭になく、「普通の月曜日」と思っておりました。それに懲りて祝日の大移動はもうするまいと思っていたにも関わらず、何と今回もやらかしてしまいました。ミュンヘンに戻ろうと計画していた今日「2022年6月16日」も実は祝日だったのでした。現在カレンダー通りの仕事をしていないので、全く意識していませんでした。しかもこんな短期間に2回も長距離移動の日が祝日にぶち当たるなんて!自分でも驚きでした。ちなみに、今日のこの祝日の後は、多くの州では10月3日のドイツ統一記念日までは祝日はありません。バイエルン州は、9ユーロチケットの有効期限内にはあともう1回、8月15日が祝日のようなので注意が必要です。
今回、デュッセルドルフでの友人のお誕生日のお祝いを兼ねた食事会を楽しみ、フランクフルトに向かうことにしました。フランクフルトは、3年半住んだことがある思い出の街で、知り合いやお世話になった方々が多く住む街です。大好きな、そして思い出のあるレストランで食事に行こうかと思いましたが、祝日の影響でそれは叶いませんでした。
当初は、フランクフルトで1泊する予定でホテルを探していました。結構安くで泊まれそうだったのですが、結局友人も忙しく都合がつかないし、祝日で行きたいお店も閉まっていて、思い描いていたことが何も出来ないし、泊まる意味はないと思いミュンヘンに帰ることにしたのでした。
鉄道で、デュッセルドルフ中央駅からフランクフルト中央駅までは、祝日の大混雑の中でも頑張って辿り着くことが出来ました。いつもはかなり身軽な格好で旅行をしておりますが、今回は少々状況が違いました。旅先で色々購入したり、お世話になった方々から、久々の再会時に素敵なプレゼントをいただいたので、割と重く、そして嵩の大きな荷物を運ぶこととなってしまいました。荷物もあり、窮屈な車両で長時間の移動はかなり大変でした。
フランクフルト中央駅に到着して、次の接続列車の検索をしたところ…ダイヤが大幅に乱れているようでした。しかも往路の際と同様、ニュルンベルク周辺の路線が激しく乱れている感じでしたので、経路検索中に一気にどっと疲れてしまったのでした。しかもここのところ6月とは思えない程の猛暑で、さらに人も多い寿司詰め状態でマスクをしたまま乗車するのは結構息苦しかったので、あまり無理はしたくありませんでした。
よし、ここはICEで帰ろう!と思ったのですが、当日購入の特急券の料金は、片道85ユーロ以上と結構高額でしたし、大混雑予想の印が表示されていました。祝日なので、ICEもかなり混雑しているようでした。
そこで、思い出したのが格安鉄道のFLIXTRAINです。
以前の記事でも書きましたが、2021年9月以降はミュンヘン中央駅へも延伸しています。調べてみると、当日予約にも関わらずミュンヘン中央駅まで片道39,99ユーロと格安でしたので、早速予約を致しました。
FLIXTRAINは、フランクフルト中央駅には寄らないので、停車駅であるフランクフルト南駅に移動する必要があります。フランクフルト中央駅は、行き止まり式ホームになっており、フランクフルト中央駅を通る列車は必ず進行方向が逆になりますが、フランクフルト南駅はそのまま方向転換をすることなく通過出来る駅です。一部の速達列車は、フランクフルト中央駅ではなく、フランクフルト南駅発着になっているので、列車検索・予約の際はご注意ください。
フランクフルト南駅は、僕にとって懐かしの場所の1つでもあります。祝日なので、あまり活気はありませんでしたが、駅の周辺の懐かしい景色を堪能しながら列車を待ちました。
通常、ICEであったりIC/ECは、列車到着案内に号車番号とホームのどの位置に立つべきかの案内がなされます。しかしFLIXTRAINにはそのような案内はありません。ネットで調べても特にそれらしき情報はありませんでした。僕の列車番号は1号車とあり、恐らく一番前か一番後ろのどちらか!という状況だったので、ホーム中ほどで待ちました。(結局一番後ろの車両でした!)
僕と同様、フランクフルト南駅から乗車する方々の数は割と多かったですが、車内は結構空いているように見えましたし、座席はとても清潔で快適な感じでした。FLIXTRAINの素晴らしいところは、チケットを購入する=座席確約ということです。ドイツ鉄道(DB)でICEやICの高いチケットを購入したところで、混雑している日は座席指定も受け付けられません。それに、荷物が多い人たちや座席を獲得出来なかった人たちが通路にビッシリ乗車するので、結構息苦しさを感じます。その点、座席も決まっているし乗車定員が決まっているFLIXTRAINは、混雑する日には特に、快適に移動出来る良い手段かもしれません。
FLIXTRAINは、各座席に電気コンセントが用意されています。見た限り、座席2席に対して、電気コンセント1つと、USBポートが2つありました。フランクフルト南駅出発後しばらく使えませんで、一瞬車内で「電源が使えない!」と騒ぐ人たちがいて騒然としましたが、列車が走行しているうちに使えるようになりました。これはバスサーヴィスのFLIX BUSでもそうですが、運転手が操作しているのかと思われます。
そして、電源の他に長距離移動をする旅人にとって大事なもの…それは、
インターネット接続についてです。この列車には無料Wi-Fiサーヴィスがあります。僕は利用する気満々だったのですが、残念ながらシグナルは出ているものの、接続して利用することは出来ませんでした。
しつこく何度も試すも、残念ながら最終目的地であるミュンヘン中央駅に到着するまで、インターネットは利用出来ないままでした。これはFLIX BUSも同様なのですが、利用者が多い場合は、接続出来る端末と出来ない端末が出てしまいます。なのでWi-Fiに関しては「利用出来たらラッキー」という感じでしょうか。インターネット接続に関しては、利用者が多かろうが、猛スピードで駆け抜ける区間であろうが利用可能なICEの方が優秀ですね。
案内表示を見るとDBのダイヤは乱れまくっているにも関わらず、FLIXTRAINは、何と定刻通り到着しました!以前の記事でも、噂話の1つとして紹介しましたが、実際に自分自身が乗車してみてどうやら本当だったことが分かりました。
理由として考えられることは2つあります。まず1つ目は、各駅の停車時間が長いということでした。全ての駅ではありませんが、結構長い停車時間が設けられている駅があります。停車時間の長い駅では、外の空気を吸ったり、タバコを吸う人はそこで吸ったり、駅売店で買い物をすることが可能です。DBのダイヤが乱れていて、影響を受けて遅延が多少発生しても、余分な停車時間を削ることでダイヤ通りに復活させることが可能です。もう1つ目は、DBの速達列車が主に通過する経路を避けて、間をすり抜けるように運行されていることです。興味深かったのは、僕が乗車した列車は、ヴュルツブルク中央駅を出発した後、ニュルンベルク方面に向かわず、Treuchtlingen(トロイヒトリンゲン)、アウクスブルク中央駅を経由して、ミュンヘンに向かいました。この経路を走る速達列車は、DB車両の通常ダイヤでは設定されておらず(オーストリアの特急列車は一部設定有り)、ローカル路線の停車しない駅をかなりの速度で通過して行きました。
フランクフルト南駅からヴュルツブルク中央駅間は、DBのメイン路線でもあり、多少のダイヤの乱れの影響を受けていましたが、FLIXTRAINは、その後見事に遅れを取り戻し「定通」を実現したのでした。
今回は、9ユーロチケットの旅の途中、自分の荷物の多さ、人の多さ、暑さ(気温と湿度の高さ)でダレてしまい、想定外の余分な出費をしてしまったのですが、結果良い経験となりました。元々FLIXTRAINは、いつか利用したいと考えていましたし、この度は魅力をたくさん発見することが出来ました。
僕がこの度実感したFLIXTRAINの魅力は下記の7ポイントです。
- 当日予約でもDBよりも安い運賃
- チケット購入時に座席確約
- 乗車人数=座席数なので、車内混雑がなく、息苦しさがない
- 清潔で快適な車内
- 各座席に電源設備
- インターネット利用可(※利用状況による)
- 定時運行(の率が高いと思われます)
9ユーロチケットを利用して、多くの方々が旅行に出掛けるようになったと、大混雑の様子がドイツ各地のニュースで報じられています。9ユーロチケットの利用だけにこだわらず、FLIXTRAINも今後利用の選択肢の1つとして考えると、鉄道旅行がより快適に楽しめるようになるかもしれませんね。