【D】ドイツ人社会の心得

Leben

昨日から僕の語学学校生活がまた始まりました。昨日は初回ということで、時間全てが授業に充てられた感じではなかったのですが、本日は授業2日目で、初のフルタイム授業ということで、気合を入れて臨みました。今回は「ドイツ社会の心得」について書きます。

授業が始まり、先生がいきなり生徒全員に「Unhöflichkeitという言葉を聞いて、何をイメージします?」と聞きました。

die Unhöflichkeit:無作法、礼儀知らずなこと、失礼な言動

何があったのかと思えば、先生はクラスの生徒たちが昨日も今日もろくに挨拶しなかったことに腹を立てていらっしゃるようでした。そう、まさに僕もそれは昨日の時点で気付いていました。目と目が合ってこちらから挨拶しているのに挨拶を返さないのは無礼だなとは思ってはいましたが、「色々な人がいる」と僕は諦めていました。宗教的背景からか、それとも文化的に家族以外の男性にはそっけなく接する女性たちもいますし、失礼と分かっていてもそういうことが別に気にならない人、多分僕だけでなくアジア人が嫌いなんだろうなと思われる、アジア系の人にだけそっけない、絶対に挨拶をしてくれないよく行くお店の某レジ係、今現在の職場にも僕にだけ挨拶をしない同僚であったりお客もいるし、僕にとっては慣れたことでした。が、先生にとっては挨拶がないことはかなり許せないことだったようです。

「いいですか?あなたたちこの国に暮らすなら最低限のマナー、挨拶くらいはしなさい!私に挨拶ちゃんとした生徒は2人だか3人しかいませんでした、これだけの人数がいてそれだけ!考えられません!これまで挨拶もろくにしないで、あなたたちよくこの国で問題なく過ごせていたわね!」と喝を入れていらっしゃいました。

挨拶については、僕が大学時代に経験したインターン、社会人1年目新卒で入社した会社が非常に厳しく、研修中は何と挨拶をしなかった同僚たちが泣くまで(泣いても尚)マナー講師に叱られるということがありました。なので僕は挨拶はどんな場面でもきちんと出来ているはずです。

そういえばドイツ人は、結構道端で出会った見知らぬ方でも目が合ったらHalloと言ってくれる人がいたり、全員ではないものの割と高い確率で挨拶はきちんと返してくださる方が多いです。日本ではもちろん挨拶(最低限無言会釈)は当然!ですが、僕がドイツ在住になってから挨拶について熱弁する方には初めて会ったので新鮮でした。

先生が怒りをぶちまけた後には、昨日の抜き打ちテストのフィードバックがありました。

ドイツでの作文の筆記試験は、文章の添削は行われないそうです。そして自分の答案がどのように採点されているかは生徒側が知らず、点数だけ知らされるものと先生が説明くださいました。確かに、検定試験のように点数が伝えられるのみで、実際にどのような間違いを何ヵ所して、正しくはどう回答すべきだったか、というフィードバックはなく、分からないままです。僕のように、どこかで間違えて覚えてしまって、疑問も持たずに何年経っても間違えた表現を使い続けてしまうこともあります。

「こういった語学学校のクラスではフィードバックがあるので、自分の間違いに気付く貴重なチャンスなんです!」と、先生は強調しておっしゃいました。この点については、僕の経験上語学学校であったり当たるクラスの先生によると思いました。宿題がほとんどない先生、あっても模範解答のプリントを渡して「各自で読んでおいてください」で終わるだけの先生も結構いらっしゃるのです。今回のクラスの先生がきちんと生徒1人1人にフィードバックをくださる先生のようで安心しました。

語学の先生が使用する記号があり、その記号の意味をご解説頂けました。

  • _(下線):その部分が間違いであることを表す記号
  • v:その部分に何かが抜けていることを表す記号
  • g:Grammatikfehler 文法間違いを表す記号
  • a:Ausdrucksfehler 表現方法間違いを表す記号
  • r:Rechtschreibfehler 単語スペル間違いを表す記号
  • z:Zeichenfehler 記号の使用方法間違いを表す記号
  • →:この単語/表現はここにあるべきではなく、もっと→にあるべきと表す記号

上記は全てではありませんが、他に「ロジカルではない」「意味不明な文章」を表す記号等もあるようですが、このクラス参加者の答案にそれはなかったそうでした。

先生は「間違いを指摘するだけだとあなたたちにとっても面白くないと思うので、私から答案用紙を返す場合には、ポジティヴなフィードバックもあります!私がマーカーペンで色を付けている表現は、素晴らしい!今後もこの表現方法を積極的に他の場所でも使ってください!という意味です!」と付け加えられました。

そして、クラスの生徒たちが書いた文章があまりにも素晴らしかったそうで、先生は特に素晴らしかった表現をプリントにまとめてくださいました。

見ていて「知っている表現ではあるけれど、実際に自分が使ったことがない」または「使いこなせる自信がなくて敢えて避けていた」という表現が割とあった中、「え、そんな言い回しあるんですか⁈しかもこのクラスの中にそんな文章書けた人がいるんですか⁈」と驚くものもありました。先生曰く「このクラスの生徒たちは昨日もたくさん積極的に発表してくれたし、テストの成績も良いし、モチヴェーションが高いクラスのようで素晴らしい!」と褒めまくってくださいました。

それを聞いて楽しみだった僕の答案は…「いいね!マーカー」頂いた箇所が6ヵ所で、全体評価は2-でした。ドイツのテストの評価制度的には、合格点であり決して悪くはない評価ではありますが、これまでに経験済みのテーマで自信がややあった試験であっただけに、もっと上を目指したかったですし残念でした。

チラリと見えてしまったのですが、僕のお隣の席の生徒の答案用紙は、ほとんどが先生の「いいね!マーカー」で色付けがなされてあり、間違いを指摘する記号は僕がぱっと見えた限り全くなく、評価は最高評定の1でした。先生がプリントにまとめてくださった表現集の出所もほとんどが彼女の答案用紙からのようでした。ダントツのレヴェル違いの生徒がいる!と驚きました。彼女の正体は、母国の大学で既にGermanistik(ドイツ語学・ドイツ文学)専攻・卒業していて、ドイツの大学院でさらに勉強したいという目標がある人のようでした。「この文章を別の表現で言い換えてください」と質問を出された際、ある程度一般的な回答が出尽くした後くらいに発表し、先生から「あなたよくそんな表現知ってるわね!」と感動されてしまうくらいの実力者です。彼女は別格、としてもクラス全体としてレヴェルが非常に高いようなので、劣等生なオッサンの僕にはとても刺激的で、とても嬉しい気持ちになったのでした。このクラスで競うわけではありませんが、プラスな気持ちの意味で「僕も負けていられない!頑張らなければ!」とさらに気合が入りました。

と、気持ちの面では結構モチヴェーションが高いのですが、宿題の量があまりにも多過ぎて早速しんどかったです。僕は結局、宿題を全て終わらせることが出来ませんでした。僕の現在の職場は、「最低限のやるべきことさえやればあとの時間は基本的に何をやっても自由!」という社風で、それが気に入って働いています。オクトーバーフェストの時期を過ぎた辺りからタスクが非常に少なく、昨日の夜勤も絶好の宿題日より!というくらい暇な感じでした。なのに出来なかったというのが悔しくてなりませんでした。

宿題は、多量のプリントと、一部生徒用ポータル上から、ドキュメントファイルを提出をしないといけないものがありました。ポータルの課題は作文なのですが、パソコンでやらなければいけない作業で、スマートフォンでは出来ません。宿題をする用に職場にわざわざノートパソコンを持って行ったにも関わらず、職場のWi-Fiが繋がらない…さらに僕のスマートフォンのテザリング機能も動作しないというハプニングがあったのでした。一瞬繋がった瞬間があり喜んだのですが、データ保存されぬまま作業不能状態に…。結局課題はノートに書いたものを準備、仕事が終わったら即自宅でパソコン操作・提出、重いパソコンを自宅に置いて語学学校に行くつもりでした。

朝7時、僕の夜勤は平和に終わったかと思われましたが、朝番スタッフが出社して来ず、僕の携帯電話には「ごめん、今起きたからしばらく職場にいて!」と連絡が来ていたのでした。あぁ、なかなか人生上手く行かないものです(笑)帰宅する時間がなくなり、割と危なっかしい時間に職場から語学学校へと向かったのでした。まぁ紙には書けたわけでしたが、先生からは「ポータル上の宿題はポータルから提出してくださいね」と言われ、本日の提出は出来ませんでした。ドイツでは「指定がある場合はその指定通りに従う」というルールがあります。そんなことはどこでもそうでは…と思われるかもしれませんが、僕の経験上、日本や日本人社会の中よりも厳格なルールがある気がしています。今回の件に関して言えば、僕はノートには答案用紙は書いたので、先生さえ承諾してくだされば提出自体は出来ました。ですがそれは固く断られてしまうのです。

幸運なことに、「今回のポータル上の宿題は、その日のうちにじゃなくても出せる時いつでも構いません」とのことでした。ポータル上の宿題は、先生により「提出期限、何月何日何時まで」と指定が出来るようになっているのですが、僕が出来なかった課題は提出期限すらもなかったようでした。それよりも、プリントで出された課題の方が重要だったようで、僕はどうにかやり終えていたので良かったです。

本日もまた大量の宿題が出ました。夜勤中頑張って良かった…と思えました。下手に後回しにしていたら開始早々詰んでしまう!という量です。

先生から「昨日のプリントの課題を提出していない人はどれだけいますか?」と、宿題をして来なかった生徒が手を上げさせられていました。教室の後ろの方に座っていた生徒たちが数人手を上げていたようでした。

「あーあ、このクラスはモチヴェーションが高い生徒たちばかりと思って嬉しく思っていましたが…そうですか。いいですか?ここのクラスでやることは全てあなたたちのためなんです!ドイツの大学や大学院で課題をやらないなんていうことはあり得ないことですから、遅れてでも今日出来なかった課題は絶対に出してください!」と先生が一喝し、授業が終了致しました。

確かにドイツの大学では、みな生徒たちはしっかり勉強に勤しんでおり、大学はほとんど全て国立大学で、日本のように「いわゆるFラン大学」と呼ばれるようなものはありませんし、ろくに勉強せずとも単位が取れて卒業出来る大学もありません。しっかり勉強した上でもそれでも付いていけず落第する人もいると言われるような世界なのです。そんな世界を僕は目指しているわけで、確かに語学学校の課題でヒーヒー言っている場合ではありません。

本日の授業では、ドイツ語の他に色々と「ドイツの心得」を学んだ気が致しました。今回のクラスの先生は、これまで経験したことがない程の非常に厳しい感じの先生です。開始早々ではありますがかなり素敵な先生だなと思えましたし、頑張って食らいついて行きます!

宿題は、サボってしまった時に「宿題出来なかった!」という悔しい気持ちがまだあるうちは、どうにかセーフで、「もういいや」と思って諦め、やらなくなってしまった時が完全アウトです。自分が知る「モチヴェーションを高く保ち続ける方法」を全て実践し、今年の年末には清々しい気持ちでいられるように、今はとにかく前に向かって走り続けます!

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