【D】渡り鳥ルートの跡地を求めて

Reisen

前日ドイツ北部にやって参りまして、キールで1泊致しました。今回は「憧れの場所訪問旅」について書きます。

キール中央駅からローカル線に乗車し、リューベック中央駅を目指しました。初めて行く場所へは、スマートフォンアプリの「DB Navigator」が大活躍です。が、行きたい場所への乗換案内を検索したところ、何やら不安になる表示が現れました。

初めて行く、よく分からないBad Schwartau駅で29分待つようでした。その上「果たして29分で済むのか」と思われる心配な表示まで…。こうなれば1駅先の大きな駅「リューベック中央駅」で待った方が良さそうかなと思い、乗換案内に従わず、リューベック中央駅に向かいました。この判断は、結果的に大正解でした。

リューベック中央駅にて、僕の目的地であるPuttgarden(プットガルデン)駅に向かう列車に乗ります。この列車には、途中駅までしか行かない別の編成も連結されるのですが、先にホームに停車している終点・プットガルデン行きの編成に大量の人が押し寄せました。この列車はなんと、2時間に1本しか設定がありません。逃すと計画が大きく狂うので、逃すわけにはいきませんでした。

車内はとんでもない混雑具合でしたが、僕は割と扉の近くという良い場所に立ち、どうにか乗車することが出来ました。ドイツの鉄道車両は、日本の車両のように扉は多くありません。1両に1つか2つが一般的です。扉が壊れている車両が平気で走っていることも(爆)扉近くだと、混雑する路線では息苦しくなるリスクを大幅に回避出来ます。

連結される別の編成車両が遅れたのか、そちらには目もくれず、僕の目の前には列車にどうにか乗り込みたいであろう人たちで溢れました。ホーム上で、もう諦めましたというような表情を浮かべる方々と、どうにか乗り込んでやろうという気合が入った人との2種類に分かれていました。2時間に1本(途中のNeustadt駅まで行く別編成は1時間に1本)ということで、どうしても逃したくはないのでしょう。仕舞いには、涙を流しながらプレゼンテーションを始める人まで現れました。

「どうか、私をこの列車に乗せてください!今日はとても大事な仕事の用事があって、遅れるわけにはいかないんです!私はこの列車には毎日、何年も乗車しています!今日この列車に乗れないということは私にとっては耐え難いことです!」

などというようなことを大声で叫ぶ方がいました。無情にも車内からは「これ以上の乗車は無理!」という声が多く聞こえました。僕は東京の朝ラッシュ経験者なので「大きな荷物がなければまだ数人くらいなら入れるだろうし、この(叫んでいた)細身の女性1人ならどう考えても余裕…」と考えておりました。そうこうするうちに、数人強気な方々が体をぐいぐい押し込んで強引に乗り込んで来ました。なかなか車内に乗り込もうとしない「涙のプレゼンテーター」には、僕が合図をして、隙間に入れて差し上げました。

その後、僕が乗車していた列車の後方に、待ち合わせていた列車が到着し、無事に連結されたようでした。僕の極めて大きな疑問は、リューベック中央駅から、終点のプットガルデンまで行く人は果たしてこの中で何人いるのだろう、ということでした。初めて乗車する区間だったので、非常に楽しみでした。

列車が出発し、リューベック中央駅の1つ先の駅・Bad Schwartau駅に到着しました。この駅は、僕がキール中央駅からプットガルデン駅に向かう際に「乗換駅」として表示された駅でした。もしこの駅で乗り換えをしようとしていたら、列車には乗れないところでした。駅のホームで待っていたのはほとんど少年少女たちだったのですが、自転車を持っていて、確実に列車には乗れない状況でした。次の列車は、1時間乃至2時間後ということで、ホーム上の人々の表情はとても疲弊仕切っていました。

しかし、次の駅Timmendorfer Strand駅にて、大きな変化がありました。僕が乗っていた車両や、後方の別編成の列車から、かなりの人が下車したのでした。駅名から察するに、海水浴場でしょうか。リューベック中央駅から2駅、たったの15分程度の場所で、大分状況が一変したのでした。そして、その後もぞろぞろと多くの人が下車して行く姿が見え、リューベック中央駅から数駅先のエリアまでバスでも走っていれば、混雑は大幅に解消されそうだなと思われました。「涙のプレゼンテーター」も、別編成が切り離される前の駅で降りて行きました。結局、終点のプットガルデン駅までいたのは、リューベック中央駅からいたメンバーはほんの数人だけ、途中駅から乗って来た数人のサイクリング用の本格的な自転車を持つ人たちだけでしたので、この路線の後半、車内は結構空いていました。

僕がプットガルデン駅に来たかった理由は、この駅はかつての「Vogelfluglinie(渡り鳥ルート)」で有名な駅だったので、一度見てみたかったからです。ここで言う「Vogelfluglinie(渡り鳥ルート)」とは、ドイツのリューベックとデンマークのコペンハーゲンを結ぶルートで、途中ドイツのプットガルデンとデンマークのRødby(ロービュ)を海上で結ぶ、列車ごと船に乗るという世界的に見ても非常に面白い路線のことを指します。本当は、渡り鳥ルートの列車にも乗車したかったのですが、残念ながらこのサーヴィスは2019年12月を最後に終了していまいました。2019年12月と言えば、僕がドイツを去り、キプロスに行くことになったタイミングです。「無職で感傷に浸る旅」にでも出掛けていれば良かったです(爆)随分前から存在は知っていて、いつかいつかと思っていたら、知らぬ間にサーヴィスが終了してしまっているという悲しい事実に直面してしまいましたが、それでも「プットガルデン駅」にはどうしても来たかったので、今回はそれを実現させたというわけです。

超特急列車ICEのディーゼル車ヴァージョンの編成が、船に乗り込むシーン、船から降りるシーンは、初めて見た際は衝撃的でした。

プットガルデン駅に到着すると、非常に潮の香りがして、かもめの鳴き声が響いていました。まさにもうそこは海!という場所で、列車の到着と合わせてちょうどフェリーがデンマーク側から到着するところのようでした。

今はもう使われてはいませんが、駅のホームの先端からフェリーの到着口に向かって延びて行く線路跡が見えて、非常にテンションが上がりました。

ちなみに現在は、Scandlinesという船会社のサーヴィスで、デンマーク側へは片道47ユーロ程度で行くことが出来るようです。この日この駅に降り立った人たちは、ほとんど皆船に乗ってデンマークに行く方々だったことでしょう。プットガルデン駅にただ来たかっただけの人は、多分僕だけだったように思います(笑)しかし1人きりで、駅構内や駅周辺を見渡して幸せ気分に十分に浸ることが出来ました。

この路線、リューベック中央駅からフェーマーン方面プットガルデン駅に向かう鉄道路線は、大規模工事の関係で、2022年8月末日をもって一旦営業が休止となります。貨物列車運行路線として、電化工事及び海底トンネル計画があり、旅客運行は概ね向こう7年程度不通になる見込みだそうです。

実は僕がこのプットガルデン駅に来た2日後に、「渡り鳥ルートさよなら運行イヴェント」にて特別な車両が運行されるということで、鉄道ファンたちの間で盛り上がっていたようです。残念ながら僕は休みの都合が合わず、その「さよなら運行」が行われるということもほんの数日前に知ったばかりだったので、時既に遅し、ではあったのですが、このタイミングで憧れの場所に来ることが出来て良かったです。

プットガルデン駅を堪能した後は、リューベック中央駅に向かいました。

リューベックと言えば、この「Holstentor(ホルステン門)」が有名です。

リューベックとハンブルクの街の観光を楽しみ、夕方出発の超特急ICEにてミュンヘンに戻りました。

今回の旅程は、

1日目(8月3日)

  1. 列車・ミュンヘン中央駅→ハンブルク中央駅
  2. 列車・ハンブルク中央駅→フレンスブルク駅
  3. 列車・フレンスブルク駅→キール中央駅

2日目(8月4日)

  1. 鉄道・キール中央駅→リューベック中央駅
  2. 鉄道・リューベック中央駅→プットガルデン駅
  3. 鉄道・プットガルデン駅→リューベック中央駅
  4. 鉄道・リューベック中央駅→ハンブルク中央駅
  5. 鉄道・ハンブルク中央駅→ミュンヘン中央駅

超特急列車ICEがお得になる「EGAL-WOHIN-Ticket」と9ユーロチケットを組み合わせ、短い日程でドイツ北部を堪能することが出来ました。もう少し時間に余裕があればもっと回りたい場所はたくさんありましたが、今回は憧れの場所に立てて大満足でした。

EGAL-WOHIN-Ticketは、「なくなり次第終了」という曖昧な感じではあるのですが、利用可能期間が2023年12月9日まで(予約は2023年6月末まで)と長い期間有効ですし、旅行好きな方には買って損はないかと思われます。

ご興味のある方は是非、EGAL-WOHIN-Ticketを購入して、お得な特急列車の旅に出掛けてみてください。

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