ミュンヘン市内は非常に家賃が高く、家賃相場はドイツ国内最高レヴェルと言われております。ただただ家賃が高いだけではなく、非常に競争率も高いので「違う街からミュンヘン市内に移り住むこと」や「ミュンヘン市内で引越し」は、かなり難易度の高いことです。そういった状況なので、残念ながら悪質な詐欺広告も多く存在しております。今回は、僕がこれまで知人から聞いた最悪な詐欺事件について書きます。
ミュンヘン市内のアパート探しの難しさ及び、僕がミュンヘン市内のアパートを見つけた話、ドイツ国内でアパート探しをする際の一般的な注意事項については、僕のYoutubeチャンネルの動画で語っているものがございますので、ご興味がある方は動画も併せてご覧ください。
僕は今現在(というかかなり長い間)、引越し先を探しております。現在のアパートの地区・場所は気に入っているのですが、色々と問題があり、自宅で安心してくつろぐということも困難な状況になってしまったからです。家や環境のせいというより、僕の気持ちの問題、精神的な問題もあります。本来の僕は引越し嫌いなのですけれども、とにかく今のアパートは早く出たい!という気持ちが強いのです。日々「早く引っ越したい!」ばかり口にしているので、自然と周囲の人たちとの会話は、ミュンヘンの住宅事情や僕の現在の状況についてという話題になりがちです。同僚たちから「Wie geht’s?」の次くらいに「家探しは順調?」と聞かれる程です(笑)そんな中、とある同僚から「近しい友人に起こった話」として、とんでもない話を聞かされたのでした。その話は、僕がこれまで聞いた話の中で、史上最悪レヴェルの話です。
僕の同僚の友人は、いわゆる「なんちゃって難民」です。「なんちゃって難民」とは、普通に外国人としてドイツに移住しておきながら、自分の出身国が不安定な状況なので「難民としてやって来たことにして」ここでは具体的には書きませんが、ドイツ国内の左翼系の政治家や活動家の支援を得て、税制上のサーヴィスやら社会・福祉サーヴィスのいいとこどりをする連中のことです。彼らの特徴としては、難民と言いながらも非常に華美な服装で、一般人がそうそう買えなそうな高級車を所有していることが多いです。支払いは常にニコニコ現金主義で、ポケット内に500ユーロ札や200ユーロ札を大量所持しており、支払いの際にわざと「俺は金持ち!」と見せつけるかのような仕草が目立ちます。物価や生活費が非常に高いミュンヘン市内に於いては、一般的なドイツ人よりも有利な立場で生活出来ているのでは?!と言われ、実際に家賃が安く、さらに立地条件の良い公営住宅に住む人も多いそうです。
そんな「なんちゃって難民」の僕の同僚の友人の方は、長い間恋人とワンルームアパートで暮らしていたそうです。ワンルームと言っても、僕が現在暮らしているワンルームアパートとはスケールが違う、ミュンヘン市内の超好立地で広いアパートに格安で住んでいたようでした。しかし彼らは、手狭だしせめて2部屋は欲しいとのことでアパート探しをしていて、昨年末頃に理想の物件に出会ったそうでした。広告主にコンタクトしてすぐに内覧をさせてもらえたそうで、契約までもスムーズなようでした。大家さんと思われた方は、凄く感じの良いドイツ人女性だったそうで、何の疑いもしていなかったそうなのですが、その女性が詐欺師だったようで、現在警察による捜索が行われているようです。
入居後しばらく経過したある日、自宅でくつろいでいたところ、とあるドイツ人男性がアパートに入って来ていきなり「お前たちは誰だ!出て行け!」と言われて驚いてしまったようです。どうやらそのドイツ人男性が本来のアパートの住人だったそうでした。旅行か何か知りませんが、しばらく別の場所にいて、久々に帰宅したら自宅に知らない人が住んでいて驚いたという状況だったそうでした。その際に受けた説明は、その建物はミュンヘン市が管轄する「Geförderte Wohnung(sogenannte Sozialwohnung)」で、一般開放されたアパートではないこと、そして「大家さんと思われたドイツ人女性」は、「誰かも分からない謎の人」で、そのアパートにも正式に住んでいた人ではなかったそうです。契約金やら家賃として支払ったお金を騙されて、そのまま逃走されているそうです。送金先としての情報はあるので、詐欺事件による組戻しなどの手続きをしているそうなのですが、せっかく住み始めた家を追い出されてしまったので、また新たにアパートを探すことと、すぐに高額な弁護士費用を支払うことになり大変な目に遭っているとのことでした。
この件は色々とツッコミどころが多い話なのですが、僕は同僚にまず「そのご友人って、住民登録してる?」と聞いてみました。すると同僚は「そう!実は面倒がって住所変更手続きしていなかったらしくて、それですぐに詐欺に気付けなかったらしい!」と教えてくれました。ドイツでは2015年11月1日より、家の賃貸契約をした際は「Wohnungsgeberbestätigung(またはVermieterbescheinigung)」を持って、2週間以内に管轄の住民局に届け出る義務があります。家主は書類を発行する義務があり、賃借人は住民登録の為にその書類が必要なので、書類がなかなか発行されない場合は早い段階で催促する必要があるのです。そして役所は、住民票を登録することが出来る住所かを確認することが出来ます。
以前、僕の知人が違法WGに住んでいたことがあり、新法が適用となった2015年11月に急遽引越しを余儀なくされたことがありました。家主が「住所貸しビジネス」をしていたそうで、最大3名までしか住んではいけないキャパシティーのアパートに、居住実体のない数十名の住民登録がなされていたとのことが発覚したのでした。僕の知人は、ドイツにワーキングホリデーで来て、就労VISAに切替える為に、正式な住所が必要な状態でした。ドイツで生活する外国人は、住民登録が出来ないアパートには住めません。例外は、きちんと住民登録がある他の住所があり、一時的にホテル代わりのような形で別のアパートに住むことで、必ず1ヵ所は「自分の居場所」を登録する必要があるのです。
ドイツに来て間もない人が、取り敢えず仕事探しであったり、長期的に住めるアパートを探すために、短期貸しで住民登録が出来ないアパートに居住することはあり得ますが、長期滞在の外国人が、住民登録を敢えてしない行為は違法です。
僕の同僚の友人の方は、これから裁判手続きに入るとのことです。
それにしても、引っ越して数ヵ月経ったとある日に、いきなり知らない人がアパートに入って来て出て行けと言われてしまうのはなかなかな衝撃事件です。アパート事情が悪過ぎるミュンヘンだからこそ、詐欺事件は多いのかと思われますが、この話を聞いてかなり驚きました。
詐欺事件に遭わないよう、気を付けたいものです。