【Z】ホワイトホステル

Reisen

久々に以前住んでいたキプロスの街・レメソス(英名・リマソール)を訪れました。今回はそこで体験した「ビックリ宿」について書きます。

先日別の記事でも紹介致しましたが、勤めていた会社を退職することに致しました。退職すると決める前の段階から「昨年から持ち越した有給休暇を早めに消化するように!」と上司から言われていて、2023年2月末頃に旅行する計画を立てておりました。書類上2023年2月末に会社を退職することとなったので、旅行を楽しんで戻ってきたら新しい職場に出社、という流れになったのです。新しい職場へ向かう前の良いリフレッシュ旅行…のはずでした(笑)

当初は、マイル修行&ステータス修行を兼ねて、エーゲ航空利用でギリシャ・アテネだけを訪れる予定でした。しかし、ちょうど連絡をくれていた、現在もまだ島に在住の元同僚たちに会いたくなったので、せっかくだしということで急遽キプロス行きを決めたのでした。元同僚とメッセージをやり取りをしていて、僕はあることに気付いたのでした。それは、僕がちょうどレメソスに行く日が、街の最大級イヴェント「カーニヴァル」の日ということでした。てっきりカーニヴァルを見に行くと思われていたようでしたが、僕はそんなことは微塵も意識をしておらず、元同僚とのやり取りで、しかも航空券取得後に「そう言えばカーニヴァルの時期か!」と気付いたのでした(爆)このような街を挙げての大イヴェント時は、ホテルの予約が難しくなります。もし予約出来るホテルがあったとしても相場の何倍も高いという状況になります。ただ、レメソスには約2年住んでいたにも関わらずカーニヴァルを見たことがなかったということもあり、この際宿はどうにかしてでもせっかくの機会を楽しもうと思ったのでした。

ネットで調べたところ、レメソス中心街のホテルはほぼ完売、予約出来るホテルがあるとしても、かなり街の中心部からは遠いリゾートホテルに1泊400ユーロ以上というものしか出て来ませんでした。唯一、とても便利そうな場所のホステル「White Hostel」という宿が安そう!しかも予約可能な残りあと1枠!という状態だったので、急遽予約致しました。

ホステルは、実は僕は「出来れば二度と泊まりたくないもの」です。旅好きの方、バックパッカーの方々の間では根強いホステルファンがいるかと思われます。とにかく値段が安いのが魅力で、僕も若かりし頃は何度か利用したことがありました。割と最近では、ミュンヘンに移住時にアパート探しの間利用したこともありました。2段ベッドが部屋の中に複数設置されていて、1部屋で複数人が共同生活をするというあの空間が、僕はあるときを境にしんどく感じてしまうようになってしまったのです。同室になった人たちが、これまで割と何かと問題がある人が多く、あまり良い思い出がないのです。とは言え、今回は予算の都合上仕方ない!そして、場所がとても便利なところなので割り切ることにしました。そして、実際に予約してからはキプロスのホステルがどんなものかも興味が湧いてきて、むしろワクワクしていました。

ホステルの場所は、レメソス中心部の非常に便利な場所にあるのですが、入口が分かりにくいところでした。もっと言うならば「げ!こんな異様な雰囲気の場所に近付きたくない!」と言いたくなるような、まさに肝試しスポットの入り口みたいな感じの場所でした。キャリーケースを引いた若者たちが出て来たので、ようやくそこが入口だと確信出来たのでした。しかし、次なる問題が起こりました。それは、ホステルはその建物の3階に位置しているのですが、呼び鈴がないのです。建物のメインの出入り口は、ヨーロッパの一般的な玄関のような感じで、普段は閉まっているので、そこの鍵を持っている人しか開けられません。扉には暗証番号を入れて開錠するシステムが確認出来ましたが、僕は予約時に暗証番号の案内を受けていないし、開けられません。さらに、扉付近には宿のオーナーの電話番号と思われる番号が書かれてありましたが、僕のドイツから持ってきた携帯電話がキプロスの電波を拾ってくれず、電話が出来ませんでした。これは困ったぞと思っていたら、ニヤニヤしながら若いお兄さんが近付いて来て、暗証番号を入れてくれて扉が開きました。

階段を上り、3階に行くと「まさに工事現場!」みたいなきちんと舗装されていないというか、廃墟のような感じでした。そして、きっとこの扉の向こうにホステルがある?と思われる場所の扉のノブが取れており、中に入れませんでした。何だこれは!と思ったら、エレヴェーターを使わないとその扉の内側に行けないということが分かり、階下で存在を見逃したエレヴェーターを使って3階に上り、ようやくホステルに辿り着けたのでした。色々嫌な予感しかしない雰囲気でしたが、中は清潔そうな感じの場所で、感じの良いスタッフの方が出迎えてくれました。

16時頃にチェックインした際に「ベッドは上の段が良い?下の段が良い?」と聞かれたので、下の段を指定しました。ホステルでは、割と下の段が良いという人が多い気がします。気軽に座ったり横になったり出来るし、僕は圧倒的に「下派」です。しかしホステルでは、下の段は色々と気を付けなければなりません。それは、油断した隙に他人が勝手にその場所を使ってしまうことがあるということです。その対策に、綺麗に整頓して置かれていた布団を少し崩し、バッグや私物もある程度ベッド上に置いて「もうこのベッドは使用中です」という感じをアピールして外出しました。これで完璧!…なはずでした。久々に会う友人たちと、レストランで夕食やバーでお酒を楽しんで、深夜0時頃にホステルに戻ったら、事件が起きました。

なんと、僕のベッドの上に誰かが寝ているではありませんか!しかも、ホステルは定員が決まっているはずなので、僕のベッドに誰かがいるならば、他のベッドがどこか1つ空いていなければなりませんが、どのベッドも埋まってしまっていたのです。「もしやオーヴァーブッキング?寝る場所ないやん!」と冷やっとしてしまいました。そう、今は大混雑のカーニヴァルの時期ですし、オーヴァーブッキングはあり得る!と思ったのでした。

僕がチェックインした際に出迎えてくれたスタッフの方が、ホステルのリビングのソファーで寝ていたのを見つけたので、急いで叩き起こしました。「寝る場所がないんだが!」と訴えると、かなり青褪めた顔をして「え⁈そんなはずは…!」と言って呆然としてしまっているようでした。

彼は僕のことを覚えてくれていたようで、「君、あの部屋の下のベッドだったよな?部屋を見に行こう!」と言ってくれたので、部屋を一緒に確認、僕が指定したベッドで寝ている人を叩き起こしました(爆)すると、布団に包まって寝ていたのは若い女性だということが分かりました。チェックイン時に、一応男性と女性の部屋を分けているような話が聞こえてきたことを思い出しました。

僕は「あの…この部屋に若い女の子が寝てるのおかしくない?」とすかさず質問しました。すると「そうだな、じゃあ女性部屋にベッドが空いているはずだから、そこで寝る?」と言われたので、「それはアカン!(笑)ならこの女の子をそこに移動させてよ!」と言いました。しかし女性専用部屋も、その時はまだ外出中で部屋は空の状態でしたが、予約上満室状態だということが分かりました。これは、後から聞いた話ですが、2人分過剰に予約を取っていた完全なオーヴァーブッキング状態だったのです。ホステルの住み込み従業員と思われる男性2人が、リビングのソファーを陣取っており、僕はそこで寝ることも出来ずどうなることやらと立ちつくしていると、ソファーで寝ていた別のスタッフが折り畳み式の簡易ベッドをどこからか持ってきて、他の部屋の床に広げ始め「よし、ここで寝ろ!」と言ったのでした。僕は瞬時にチェックイン時の情景を思い返し「ちょっと!この部屋って男の子6人がいた部屋ですよね?6ベッド部屋だし、彼らのプライヴェートルーム扱いじゃないの?ここの床に僕が寝て平気なの?」と聞いたら「ここに置くしかない!それに、彼らは今まだ外出中でいないし、もしかしたらディスコやパーティーで朝まで戻って来ないかもしれない。お前はたった今夜1泊しかいないんだし、取り敢えずここで寝ろ!」と言われ、仕方なくそこで寝ることにしたのでした。ソファーに寝ていた住み込み従業員のうち1人(アフリカ系のお兄さん)は非常に感じの良い人でしたが、もう1人の方はとにかく横柄な態度で感じが悪かったです。

つい数分前まで一緒にいた友人からメッセージが来ていたので、返信で「ホステルにて事件発生!」とメッセージを送ると、「どうしたの⁈」と即電話が掛かって来ました。

僕が放り込まれた部屋には、その時は僕以外誰もいなかったので、深夜ではありましたがそのまま電話で会話をし、状況説明をしました。友人は「そんなところにいないでうちに泊まりにおいで!」と言ってくれましたが、友人宅はホステルの場所から少々離れているし、夜中で疲れもあったし、何より翌日も一緒にカーニヴァルを見に行く予定だったので「この面白話の続きは明日するよ!」と言い、さらに何かドラマがありそうな予感がしたので、友人の提案を断りました。予想通り、その後も色々とハプニングが続きました(笑)

夜中1時半頃、扉から変な音が聞こえました。何かと思ったら、白黒の毛色の猫が部屋に侵入してきたのでした。僕が寝ていたところにも来ましたし、普通に他の人が使っているベッドの上でリラックスし始めました。この猫はホステルの飼い猫なのか、キプロスでは普通にその辺を歩いている野良猫なのかは定かではありませんでしたが、普通に猫が入って来たので驚きでした。まぁ別に他のベッドでスヤスヤ眠ったし、僕の邪魔にはならないからいいやと放置しました。

早朝4時半頃、僕が寝ていた部屋の本来の宿泊客の男の子たちが戻って来て、僕が叩き起こされました。「おい、何でここで寝てるの⁈」と、結構大きめの声で問いただされました。当然です。しかし、僕のせいではないということは言わなければならないので、事情を説明しました。しかし彼らは「僕ら6人で旅行してて、ここは僕らだけの部屋として予約してるから君がここで寝るのはおかしいよ!それに君がちゃんと予約しているこのホステルの客なのかも怪しいし!このくらいのベッドならリビングか玄関に置けるだろ!とりあえずここからは出て行ってくれ!」と言われ、男の子2人に簡易ベッドを担がれ、部屋の外に追い出されました。

さらにその後、別の女性部屋のグループも戻って来て、玄関を開けたら僕がいて驚かれたりしました。僕のせいではありませんが、何だかすみませんという感じです(笑)しばらくは音楽を掛けられたり話し声が少々うるさかったものの、いつの間にか僕は疲れて寝てしまっていました。

朝7時過ぎ、僕は男性の怒鳴り声で叩き起こされました。「おい、お前ここで何やってんだ!」と。声の主はホステルのオーナー…ではないそうなのですが、経営責任者の男性でした。事情を説明しましたが、最初の段階では僕が怪しい奴扱いされ、説明している最中も何度も話を遮られ、一方的に責め立てられました。僕は予約もきちんとしているし、予約確定のメール、デポジット予約(予約時に支払済み・キャンセル不可)の証明も出来る状態で、きちんとチェックインもしてパスポートコピーも受付に取られていたので、彼を一応説得することは出来ました。しかし彼は「おい、ここ空きベッドあるよな!何でここにいないんだ?」とさらに追い打ちを掛けて来たので、僕もすかさず応戦しました。「今の時点でチェックアウトしたか外出したんじゃないですか?僕が昨夜ここに戻って来た時にはこの部屋のベッドは全て埋まっていたし、そこで寝ているスタッフの方と一緒に確認しましたよ!」と言い返しました。

「こんなことが起こるなんておかしい!何でだ⁈まぁ、いいや!起こして悪かったな!まぁチェックアウトまで時間はまだあるし、ゆっくりして行きな!」と言い、ソファーで寝ている従業員を叩き起こし、説教タイムが始まっていました。僕はもう目が覚めてしまったし、早くこのホステルを去ろうと思いいそいそ用意をしましたが、ホステル責任者の男性が何やら僕と話したそうだったので、コーヒーを飲みながら、従業員の方と3人でちょっと話し込みました。

そんなこと僕に言われても知らん!ということも含め、色々話し込んだ中でホステル側から提案があったことは、

  • 今夜以降も連続で泊まるならその分は無料
  • 今後このホステルでの宿泊は時期問わず何泊でも無料(但し、現責任者在職期間のみ)

という内容でした。僕は1泊しか予約していなかったし、もうこのホステル…いや、ホステルそのものには二度と泊まるものかと思ってしまったところだったので、提案は断りました。

僕は安さだけで決めたので事前に確認しませんでしたが、某有名ホテル予約サイトの口コミ欄が酷いようで、彼らはそれをとても気にしているようでした。「どうか!どうか!ネガティヴなコメントは残さないでくれ!」と2人にお願いされ、「彼は本当に良いお客だ!素晴らしい我慢強い日本人!だから彼は悪口はきっと書かないだろうが、他の人だったとしたら酷いコメントが残されるはずだ!こんなことが二度と起こってはいけない!」と、僕の目の前で色々と好き勝手言っているのを、僕はどんな表情で聞いていたのだろうか。せめて今回の宿泊分の返金がないなら口コミ欄でとびっきりの大悪口を書く予定でした(爆)勝手に「彼は日本人だから物静かだ!」だとか「彼は旅行関係の仕事だったこともあって状況を分かってくれてミスに寛容だ!」とか言われていたのは、何だかなと思いましたが、変に刺激して逆上されるのも嫌だったので、返金がなされなかったらクレーム確定!という算段でおりました。何度も「今夜タダにさせてくれ!フライトは変更かキャンセルすれば良い!今すぐに何かサーヴィスしないと気が済まない!」と、あくまで僕にとって魅力ゼロの提案ばかりで返金はしてくる気配はありませんでした。自分からお金返して!って言っても良かったのですが、やたら僕の目の前で「彼は良い奴だ!」を連呼されたのが気になり、あまり彼らを責められませんでした。実はこれは心理学的に有効な方法で、彼らの作戦だったりしたのでしょうか(笑)

シャワーを浴びて、チェックアウトしようとすると「これ!受け取ってくれ!」と、ホステル責任者の男性が、こっそり現金を僕に渡して来ました。宿泊費の返金かと思いきや、僕が払った金額からちょっと足りない金額でした(爆)いわゆる口止め料なのかは知りませんが、取り敢えず少々お金が戻って来ただけでもラッキーと思うことにしました。

シャワーをしていた時に気付いたのですが、足に何ヵ所か傷やら発疹が出来ていました。原因はマットレスか布団か、それとも深夜に侵入して僕にも少々懐いてくれた猫が原因かは不明ですが、足が数か所赤くなり、強烈な痒みがありました。もしもこれが南京虫なのだとしたら、着ていた服ごと捨てなければいけないレヴェルです。持っていたカバンを介して自宅に持ち帰らないように注意が必要です。

というようなことがあったので、「キプロス面白話」として色々な友人たちに話しました。話を聞いてくれた友人たちは、爆笑もしくは引き攣るかの2種類に分かれましたが、貴重な体験が出来ました。一応ホステルの名誉のために言っておきますと、本来の部屋、ベッドで眠れていたとしたら、どうだったか。場所やコスト面を総合的に考えたらそう悪くはなさそうという印象です。大きなバルコニーもあり、そこでのんびり海を見ながら過ごすのも良さそうですし、ホステルファンからすると、旅人同士新たな人との出会い、交流も楽しめそうなスペースではあるかもしれません。受付スタッフの方(アフリカ系のお兄さん)は非常に感じ良く、トラブル発生後も一生懸命対応してくれました。

キプロス在住歴の長い元上司からは「キプロス人って自分が言ったことすぐ忘れるので、今後ずっと無料って話も怪しいですね(笑)」と言われました。キプロス人には申し訳ありませんが、僕もそう思いました。しかし、もう今後このホステルには多分泊まることはないので、僕のことは忘れてもらって結構です(爆)

僕の今後の目標・教訓は、

  • なるべくホステルには宿泊しないこと
  • 価格重視!と考えなくて良いくらい、しっかり稼げるようになること
  • 何より、イヴェントごとのある日程かどうかはきちんと下調べをして旅行計画を立てること

です(笑)ホステルは安いというメリットがありますが、好きかどうかということや、向き・不向きもあるかと思われます。僕はやはり寝る時間は、快適に過ごしたいので今後はホテルを予約します。行き当たりばったりのハプニング旅も面白いですが、今後の旅では、優雅な「大人な楽しみ方」を満喫したいものです。

宿では色々ありましたが、かつて過ごしたキプロスの友人たち、元同僚たちと久々に会えて楽しかったですし、カーニヴァルは非常に楽しめました。

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