【D】ドイツ企業への転職

先日別の記事でも書きました通り、この度転職致しました。そして本日ようやく、最初の週のトレーニングを終えました。今回は転職直後の様子について書きます。

僕のドイツ在住歴は10年以上経っていますが、これまで純粋な意味でのドイツ企業で働いたことがほぼありませんでした。というのは、僕の語学力であったり経験、資格などが不十分で、専門職での勤務が出来ず、「とりあえず日本人スタッフ、日本語を話す人が欲しい」と求められる、ドイツ国内にある会社ではあるものの、日系企業であったり、日本人チームがある会社でしか働いて来なかったからです。そういった会社では、往々にして「独特な日本人差別」があります。それは、暗黙の了解のサーヴィス残業や、休日出社、休暇が取得しにくい等です。「日本人差別」という書き方をしたのは、もしも他にドイツ人スタッフであったり日本人以外の国籍の人がいる会社だとしたら、その人たちにはそのようなことを求めないが、日本人、特に年齢の若い人には当然のように求めて来るからです。そして、日本人スタッフは休暇が取りにくいのに、ドイツ人スタッフは長い休暇を遠慮なく取得、病欠も割と多めなので、自分以外の仕事の責任もかなり求められるのです。現地求人情報に「日本風の働き方が出来る人」「日本企業での働き方が理解出来る人」などと書かれてある会社は、例えドイツ国内で、ドイツ労働法の適用範囲内であるとはいえども、いわゆる「ブラック企業要素」が強めな社風であることが多いです。また、「あなたが日本人だから採用する!」「日本人が大好き!」などとやたら日本人であることを強調されて採用される場合も、日本人はたくさん働いてくれるとか、強気な要求をしないだろうという点を期待されていることがあるので注意が必要です。

今月から働き始めた会社では、僕にとって初めての経験がいっぱいです。まず、上司や同僚に日本人がいません。これまで勤めて来た会社では、自分以外にも最低1人は日本人がいた環境だったので、これまでにない違和感、そして喪失感のようなものを感じています。誰か他に日本人がいると、何かあった際は日本語で会話したり、仕事面以外の部分でも何かと助かっていた部分が多かったのですが、今回はそうは行きません。仕事では、ドイツ語がメイン、時々英語という状態となりました。仕事上日本語を使用する可能性は今後ゼロではありませんが、ほとんどなさそうです。

最も衝撃的だったことは、休暇についてです。僕は3月からの入社で、さらにまだ入社後3日しか経っていない状況ですが、いきなり総務担当者から呼び出しがあり「今年2023年の休暇計画を即提出して!」と言われたのでした。有給休暇を年の初めに全て決定してしまうということは、ドイツ人の間では普通のことのようです。ドイツ人の多くは、年初に全ての有給休暇を決定し、早い段階から航空券やホテルを予約します。これまで勤めたことのある会社で同僚だったドイツ人たちは、確かにそうしていましたが、僕は有給休暇についてはそうして来なかった、またはそうすることが許されなかったことが多かったので新鮮でした。取り敢えず数日だけ「この時期に旅行出来たら良いな」と思う日を何となく申請すると、早速また業務中に呼び出しを受けたのでした。

「申請日数が少な過ぎる!出来れば今日中に全部決めて!それにあなた、休暇の計算方法を間違えているわ!元々付与されている休みとは別に有給休暇があるんだから、ここにあなたが7日間と書いてあるところは有給休暇日数は5日と書かなければダメ!」などと言われ、無理矢理休暇計画を立てました。入社早々に、こんなことを言われたのは初めてでした。ドイツ人の友人には「そんなこと普通だし、何なら転職の面接時にこの日は絶対に休みたいって言うよ!」と言われましたが、僕には本当に初めての経験だったのです。家族がいる、子供の学校休みに合わせてという条件がある人たちにとっては、祝祭日周辺を中心に熾烈なバトルがあることもあるそうですが、独身の僕には関係がないですし、僕の2023年度休暇計画は、即日全ての希望日が認められました。

申し訳なさそうに「ごめんね、あなたが3月から入社したから有給休暇日数が元々少ない上、もう既に多くのスタッフが申請してしまっている時期は避けてもらったけれど、来年からはきちんと全てフェアに決定しますからね!それに有給休暇はあなたが長く勤めればどんどん日数が増えて行きますからね!」と言われたことは、かなり驚きでした。申請日を最初少なくしたことについて「一応この先に何があるか分からないので…」と言うと、「別にその時に考えれば良いことだし、この他に病欠であったり、やむを得ない理由で休むことは権利として認められるわけだし、何が問題なの?」と言い返されました。「あぁ、ここはドイツだった!」と思い出した瞬間です。これまでこんな優しい言葉を掛けられたことはなかったですし、僕は随分とブラック企業に慣れてしまっていたようでした(爆)

他に驚いたことは、会社の特典です。旅行代理店で仕事をしていた際には、航空券やホテル宿泊代金が少々安くなるといった特典を受けられたり、提携している会社での買い物やサーヴィスの割引がありました。実際は旅行代理店勤務の時に利用したことが数回あった程度で、他の会社に勤めていた際はそもそもそういった特典がないなど、特典はほぼ受けずに過ごして来ました。僕がこの度お世話になる会社では、有名ホテルグループの割引特典が、自分自身だけでなく家族や友人にも適用可能とのことだったので、嬉しかったです。さらにホテルグループのポイントもしっかり加算されるということで、仕事中にポイントカードを作ったり、ポイントについて先輩社員から熱く語って頂けました(笑)

仕事の面では、システムについて色々と覚えるのが大変そうです。先輩スタッフたちが「私たちがやっているのを何となく見ていてね!」と言い、あまり具体的な説明はありません。ヴェテランスタッフの動きが速過ぎてところどころ意味不明で大変ですが、色々と質問をしました。とあるスタッフからは早速「Das ist halt so! Bitte frag mich nicht warum!(訳;そういうもんだから!何故そうなのかは私に聞かないで!)」とイラついた感じで言われました。しかし、その様子を見ていた他のスタッフからは「自分から色々分からないところを積極的に質問する姿勢、良いねぇ!」と言ってもらえました。日系企業や日本人が多い職場では、最初の研修では、研修担当者が割と懇切丁寧に教えてくださることが多いと思われますが、ヨーロッパでバリバリ働くには、主張すべきところはきちんとすべきで、分からない箇所はどんなに先輩スタッフたちにイライラされても聞かなければなりません。結果、僕が色々と質問した箇所は、「人それぞれやり方がある」とのことで、入力する内容さえ「最終的に」合っていれば別にどうでも良いとのことでした。ここ数日の間で僕が経験したことは、例えるならば、先輩Aさん(仮名)に習った内容を先輩Bさん(仮名)の前でやって「違う!」と言われ修正され、今度はその通りやったところ先輩Cさん(仮名)に注意され、先輩Aさん(仮名)に「別にこの作業は割とどうでも良いし、人によって違うから、違うやり方を聞いたらこういうやり方もあるんだーくらいに思っていて!」と言われる…といったようなことの繰り返しでした。「テキトーで良い」だとか「どうでもいい」というのは、初心者の頃に言われるのが一番困りますが、今はまだ自分自身が新人なので、とにかく多くの新しいことをまっさらな気持ちで学んで行くしかなさそうです。

早速とある先輩スタッフからは嫌われてしまっただろうかと心配した瞬間はありましたが、休憩から戻ると割とスッキリした感じで優しく声を掛けてくれたり、仕事中に真面目な内容ではない話をたくさん振られたりしました。多分まだ僕は嫌われてはいなさそうですし、他のスタッフたちを見ていても、全体的にスタッフ同士の仲が良さそうな雰囲気の会社で安心しています。

僕の人生目標は、働きながらドイツ語能力の向上と、ドイツの大学に行くことです。仕事と学業の両立を上手く出来たら良いなと思っているので、早く新しい環境に慣れ、良い生活リズムを作っていきたいものです。ドイツ語の語学学校にまた通い直したいと考えていますが、語学学校生活は、試用期間(Probezeit)の3ヵ月終了後を目途に再開予定です。貯金も作りつつ、とにかくクビにならぬよう、頑張って勤め上げます!

にほんブログ村 海外生活ブログへ
にほんブログ村

にほんブログ村 海外生活ブログ ドイツ情報へ
にほんブログ村

にほんブログ村 外国語ブログ ドイツ語へ
にほんブログ村

タイトルとURLをコピーしました