先日、僕が日本で大学生をしていた頃にお世話になった先生に会いに、ドレスデンに行って参りました。今回は、その際に経験したホテル従業員とのバトル「ドレスデン事件」について書きます。
↓旅の様子については、僕のYoutubeチャンネルにて動画を公開しております。よろしければ併せてご覧ください。
僕が20歳の頃、かれこれ20年程前に、僕は初めてドイツを訪れました。ドイツ法の研究をしていて、旧東ドイツに留学経験もある先生の引率の元、僕の人生の初の海外旅行を楽しむことが出来ました。
今となってはスマートフォンが主流で、さらに海外でインターネットなどと珍しいものではありませんが、当時は、旅行者全員「もしものために」ということで、わざわざ日本国外でも使える端末を電話会社からレンタルして携帯していたものです。ショートメッセージも1通100円くらいしてしまうようなかなりの高額料金ではありましたが、自分なりに気を付けつつ、家族や友人たちに現地からの喜びの声を届けて楽しんでいたことは良い思い出です。基本的に、同行メンバーとは常に同一行動をしていたので、道にはぐれたりしてメッセージのやり取りをすることはなかったのですが、持っていて非常に安心出来るアイテムだったことは言うまでもありません。
時は流れ、非常に便利な世の中になったわけですが、今回は先生からの連絡が一切なくて困ってしまいました。これまでに先生とは何度もドイツで再会しており、日本出発前空港からや、ドイツ到着後ホテルからメールをくださっていたはずが、今回は一切の連絡がなかったのです。無事に到着しただろうか、何かトラブルに巻き込まれたのかもしれない?!という不安がありました。実は先生がいらっしゃった日から数日間、公共交通機関のストライキが予告されていたので、その影響を受けて苦労されていらっしゃるかもしれないと心配にもなりました。僕がとある街の独日協会とアレンジしたイヴェント(先生たちの都合上、僕は参加出来ない日程になってしまいました)の詳細情報を伝えなければならなかったのに、その日がどんどん近づいてしまっていたので、とにかく早く返信が来ることを願っていました。今回も大学生の子たちを数名連れて来ると伺っていたのですが、学生さんたちの連絡先は一切聞いていなかったので、唯一の手掛かりである先生からの連絡を待つしか方法はありませんでした。
実は事前に、先生から「こういう行程で旅行します」「どこかで会えそうなら是非参加してください!」と、「旅のしおり」を共有頂いていました。時間が明記されている箇所と、かなり曖昧な感じ(恐らく当日の雰囲気で変更の可能性大?!)で書かれてある箇所がありましたが、確実なのはホテルの名前、住所でした。僕は理由有って他のホテルに宿泊したのですが、ドレスデンに到着し、自分自身のホテルのチェックイン後、先生たちが宿泊していらっしゃるであろうホテルに向かいました。
さて、今回のようなことは僕の人生で初めての経験なのですが、「個人情報保護」の関係から、ホテルのスタッフには怪しまれないように問い合わせをしなければいけないということは、何となく分かっていました。フロントスタッフの方に、一度は「個人情報保護ポリシーの関係で、そういった取次は出来ないので、自分で直接連絡してください」と断って来たものの、先生と会う約束をしていることと、連絡がずっとつかずに困っていること、僕は以前の学生で非常にお世話になった方なのでどうしても会いたくてミュンヘンからドレスデンにやって来た、などと詳しく事情を話すと部屋に内線を掛けてくださり、部屋にはどうやらいなさそうであるということは教えてくださいました。ホテルには既にチェックイン済み、無事にドレスデンには到着出来ているということはそこで確認出来、やや安心致しました。
ちょうど夕食の頃の時間だったので、ホテル近辺の有名レストランを散策しました。市内の公共交通機関はストライキの影響で動いておらず、行動範囲はかなり限定されているはずと推測しました。ドレスデンの旧市街を何となく歩いていて再会出来たらそれはそれで面白い!などと気軽に考えていましたが、残念ながら会うことは出来ませんでした。
夕食も食べ終えてそろそろホテルに戻っている頃?と思い、ホテルに再度出向き、同様に問い合わせをしました。その後2名のホテルスタッフと会話することになるのですが、2人目の方は「その方が当ホテルにいるかどうかさえも答える必要がありません。自分で連絡を取ってください!」と、かなり厳しく断って来ました。しかし、最初の方と話したと同様、事情を話してなんとかお願いをしてみました。すると、フロントスタッフからは「あなたが言うようなお客はいない!」と言われてしまったのでした。突き詰めて聞いてみると、どうやら先生の名前の予約氏名が「Frau(女性)」となっているとのこと、さらに「このグループは女性のグループだ!」とハッキリ言われてしまったのでした。先生が引率している今回のグループは、女生徒だけであることは聞いてはいましたが、フロントスタッフに「このグループは女性しかいない」と言われてしまっては、今回学生さんだけ旅行していて、まさか先生は来ていない、何か問題があった?!などと別の不安が過ったのでした。しかし、先生の名前を言った際に「その名前は女性の名前でしょう?」と言われたことから、単なる登録間違いの可能性も捨てきれはしませんでした。ちなみに先生のお名前は、日本人が見れば恐らく男性であると即判断が出来るようなお名前です。残念ながらドイツでは日本人の名前は「所見では男性なのか女性なのか判別不能な名前」が多いのです。そして、自らが男性やら女性と登録した情報は、それが間違いであったとしても正しいものとしてしょりされます。「女性のお客さんによく分からないあなたと取次なんて…」と言わんばかりにかなり警戒されてしまったのですが、僕は何度も「その名前は男性ですし、高齢のお爺さんですよ!」と言い、何とか取り次いで頂けました。しかし残念ながら、内線電話に反応がなく、部屋には戻っていないと言われてしまったのでした。そのスタッフは恐らくまだしばらくいらっしゃるであろうとのことで「またしばらくして来ます」と伝えて一度ホテルを去りました。
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一度探索した旧市街でしたが、今度はまた違った道を通ってみたり、夜景を楽しみました。その後もうさすがにこの時間には、という時間にホテルに戻ると、フロントスタッフが入れ替わっていました。雰囲気からして、話しやすそうなスタッフという印象がある方だったのですが、僕の姿を見て先生の名前を言った瞬間に、物凄い視線で睨みつけ、こちらが予想だにしなかったようなとんでもないことを言って来ました。
「個人情報保護ポリシーのため、あなたの質問には一切答えません!とてもしつこいな!彼女と連絡が取れないのは、あなたに会いたくないからだ!自分が彼女に何をしたのかよく考えろ!」と意味不明なことを言われ、事情を話しても一切聞く耳持たず、という感じでした。隣にいた別のスタッフは「彼が言うことは正しい!あなたの要望は聞けませんので帰ってください!」と言い、まるで女性を追い回している変質者、ストーカー扱いで、無駄に気力と体力を消耗し、ホテルを後にしたのでした。
ホテル従業員として、個人情報保護ポリシーの遵守をすることは素晴らしいことかもしれません。しかしながら、「海外旅行中」の友人と連絡が取れず、身内ではないものの関係があり、非常に心配事が予想される事態には、非常に困ってしまう大きな障壁となりそうです。ちなみに最後に会話したスタッフとは、あまりにも言い方が酷かったので、その点については「事実とは大きく異なる屈辱的な言葉を浴びせられた」抗議致しました。
SNSにて質問をしてみたところ、ホテル従業員の方には、ロビーで会うことになっているので呼んでくださいと伝えてみる、メッセージカードを残して、これを渡してください、またはこの内容を伝えてくださいとお願いすると個人情報保護ポリシーには抵触しないとアドヴァイスを頂けました。しかしアドヴァイスをせっかく頂けても、もう既にホテルスタッフの間で「警戒人物」の扱いを受けてしまっている可能性が極めて高いので、ホテルに再度向かうことは諦めました。
先生たちとは結局、彼らがドレスデンを離れる列車に乗り込むタイミングでホーム上で会うことが出来ました。先生及び学生さんたち曰く、先生が今回何を思ったのか「海外でインターネットをして莫大な請求が来てしまったら怖いので遮断する!」と宣言したそうで、学生さんたちが無料Wi-Fi接続の方法を教えますと申し出たにも関わらず拒否した、とのことでした。昔、結構なお金を掛けてドイツでも使える通信手段を持っていた先生からすると、全く考えられない事態でした。
ホーム上にて短い間ではありましたが、今回僕が経験したホテル従業員とのやり取りについて説明したところ、全員が爆笑して「それは大変でしたね!」の一言で終わりました(笑)ある程度ホテル従業員の対応に納得出来る部分はあるものの、最後に当たったフロントスタッフが僕に言ったセリフの内容だけがどうも納得が行きません。よりによって先生の名前が女性として登録されてしまっていたということ、何より、本人と一切の連絡が付かないという非常に珍しい要素が奇跡的に重なってしまい、貴重な体験をしてしまうこととなったのでした。
今回の旅で得た教訓は、次の通りです。
ドイツで一度ダメだと拒絶、拒否されたことでも、話す相手が変われば対応は変わることがあります。(例えばコールセンター対応などでは、対応が悪いスタッフと頑張って長く話すより、さっと掛けなおして別のスタッフと話す方がスムーズなことがほとんどです!)
しかし、全く連絡が付かない人に会いに遠出してお金・労力は無駄に使い過ぎないこと、頑張り過ぎないことです。
今回は、いつもご連絡がある関西空港出発時点から既に連絡がなかったので、大方会えない可能性が高いときっぱり諦めていても良かったかもしれません。
ところで、この先生との旅行は良くも悪くも「珍しいアクシデント」が起こりがちです。実は今回も「何かあるかもしれない」とは予測していました(笑)自分の直感、特に「嫌な予感」はなるべく信じることにしてみようと思ったのでした。
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今回は、上記教訓が得られたことの他、久々の長距離鉄道旅と久々のドレスデン訪問、初めて訪れたマイセンの街が可愛かったことが大きな収穫でした。