【D】ドイツ転職の注意点

先日別の記事でも書きました通り、また転職をすることに致しました。たったの3ヵ月足らずの勤務という、僕の人生における「最短勤務記録」を大幅に更新してしまいました。思い返してみれば、そもそも入社しなければ良かったかもしれないポイントがありました。今回は、ドイツでの転職に於ける注意点について書きます。

現在の勤務先に不満を抱いてからか転職を決意、その後転職活動、次の勤務先の入社手続きはスムーズでしたが、僕は若かりし頃、そしてつい最近も1度大きな失敗をしています。当記事をご一読頂いた方には、どうか同様の失敗をしないように頂ければ幸いです。
転職の際の注意点…それは、面接に合格して、入社日が何となく決まっただけの状態で、即勤務先に退職の連絡をしないことです。先方の契約書の内容をしっかり読み、署名をするまでは「どんなに今の職場を早く辞めたいと思っていたとしても!」先走らないことです。解約期日のこともあり、先方が早く現在の会社を退職すると連絡をするように!と、自分たちは契約書の用意すらもしていない状態でプッシュして来たら、そこはブラック企業の可能性が高いです。
相手に今の職場を辞めるように仕向け、逃げ場がなくなったところで、不利益な交渉をしてくることがあるのです。いわゆる「後出しじゃんけん」のような状況です。また、悪意のある会社経営者・人事担当者は、面接中には口頭ではかなり良いことを言っておきながら、契約書には大きく内容が異なっている内容を示して来るという場合があります。他にも同時に内定が出ている場合で、内定辞退の連絡をしていない場合や、してしまった後でも交渉が出来そうであれば、そんな会社からのオファーは蹴れば良いですが、どこの会社であっても契約書の内容を確認するまでは油断がなりません。
残念ながら、僕は過去にこういったことは日系企業で2回、そして現在の職場でやられました。
まず、僕が最初にそのようなことを経験したデュッセルドルフにある某日系企業では、社長が出張中であるという理由で契約書をなかなか送ってもらえませんでした。しかしやたらと「会社辞めるって言った?退職が認められたら必ず連絡してね!」とコンタクトしてきました。僕はその当時は若かったですしかなり世間知らずでしたが「ドイツでは契約書面を見るまでは安心しない方が良い!」と友人たちからアドヴァイスを受けており、その通りに社長に伝えました。
「安心してくれていい!俺たち日本人同士なんだし!取り敢えず来月からは働いて欲しいから、今の職場を来月も辞められないということだけは避けたくて…」と言われ、契約書を交わす前に、その当時勤めていた会社への退職を申し出ました。そして、その会社の退職後にようやく転職先の会社の社長と面談、契約書を見ることが出来ました。
入社日に用意された契約書に書かれた給料額が低過ぎ、交渉しました。「もうここで署名しないと君は無職になるよ!」と脅しのような雰囲気で話されたので、「転居を強制される上にこの金額はあり得ません!額を書き直して頂けなければ無職のままで結構です!」と強気に出て、やや給料を上げて頂けました。そのまま入社しない手もありましたが、契約書の内容を一部改めてくれたことを受けて、さらに当時信頼していた知人も働いている職場だしということで、入社してしまいました。ちなみに、この会社の社長は、僕が別記事Youtube動画で語っている「モラハラ・セクハラ上司」を表しています。仕事内容が元々興味があった内容で楽しかったこと、素敵な顧客たちに出会えてやりがいを感じられた部分がありました。問題があった上司とも別オフィス勤務で、四六時中顔を合わせる必要もなかったので、その会社では2年半程は頑張れましたが、上司の人間性がどうしても生理的に受け付けられず苦労しましたし、営業成績を上げても給料は上がらず、結果的に面白さを見出せずに退職をしました。
その後の転職活動で関わった、フランクフルトにある別の某日系企業でも、契約書をなかなか送ってくださらない会社がありました。
大手でかなり知名度もあろう有名な会社で、日本人面接官からは日本語で説明を受けましたが、契約書をいつまでも送って来ないことを疑問に思い問い合わせました。「入社は来月1日でお願いしたく、契約書を用意しておきますので、入社日に来社してサインしてそのままご提出ください」との案内がなされました。「契約書の内容を事前に知りたいので、メールで送ってもらえますか」と依頼すると、即ドイツ語の書面が送られて来ました。書かれてあった内容がとんでもなかったので、即ドイツ育ちの日本人の友人やドイツ人の友人たちなど、頼れる人たちに転送、当時通っていた語学学校のドイツ語の先生にも契約書を実際に見せて相談しました。全員から「こんな契約書には絶対にサインしてはいけない!」との回答を得ました。指摘ポイントは人によって少々違う部分もありましたが、概ねのポイントは似た部分にありました。「せめてこの文言は消してもらうか変えてもらうかした方が良い」「取り敢えずこれらの点については、面接中に説明がなかったなら質問はすべき」「労働契約書には不適切な文言がある」とのことで、入社まではまだ1週間程度はある、という状態だったので、メールにて質問を行いました。
実際に面接で顔を合わせた日本人担当者から「ドイツ語読解能力がないんですか?ここはドイツなので、ドイツ語契約書での内容が全てです。我々は日系企業ですがドイツのルールに従いますし、ドイツ語が読めないと契約は結べません!」と、ケンカ腰にも取れるメールの返答がありました。
結局、友人が指摘したポイントを列挙して説明をお願いすると、「弊社法務部に確認しましたが、一切問題はありません」とのことで、入社辞退の連絡をすると「こんな文章もろくに読めないなんて。そしてあなたにそのようなアドヴァイスをされた友人の方、大丈夫ですか?」と捨て台詞を吐かれました。僕の友人たちの正体が、弁護士やらドイツ語教師であることは敢えて言わず、そのメールには返信せずに入社辞退させて頂きました。
この会社では、入社前だったのでダメージは少なかったものの、僕自身のアクションが遅かったので、他の会社に再度応募するタイミングを逃し、無駄に無職期間が長くなってしまったのでした。
そして現在勤めている会社では、前職をとにかくすぐに辞めたかったので、焦ってしまいました。契約書の正式な書面が届く前に「Vorvertrag」という簡単な待遇面について書かれた書類が渡されて信用しきっておりました。正式な書類は、入社後に渡されました。契約書の他に、誓約書のような書類も大量に渡されました。残念ながら、「Vorvertrag」書類には書かれていない部分が後から露呈し、さらにドイツ語がネイティヴではない上司の説明でどうしても気になる文言、説明があったので質問すると「Kein Problem!」の一言しかありませんでした。入社後しばらくして他の同僚との会話の中で、やはり僕の心配した通りであることが分かったり、その他気に入らない点が複数あり、退職を決意することとなったのでした。ちなみに、入社時に渡された書類で、試用期間に関する規定が6ヵ月であったり、3ヵ月と書かれた書類が混在していたのですが、3ヵ月が正しいとのことでした。このように、渡された大量の書類の中で一貫性がない部分も確認されたのでした。僕の名前のスペルも激しく間違われていたり、人事担当のスタッフがきちんと質問にも答えられない感じでしたし、とにかく事務面で残念な部分が露呈していました。
試用期間の長さは、短い方が良いと考える方が多いかもしれませんし、上司からは「君にとってそっちの方が良いよね?6ヵ月じゃなくて3ヵ月だから!安心してね!」と言われました。が、今現在の僕の心境で言うと、ちょっとずれたら解約告知期間が長くなり、辞めにくくなっていたかもしれず「この会社なら試用期間は半年でも良かったかな」と思えました。入社時に渡された書類の中身がしっかりしていなかった点もそうですが、やはり期間に余裕をもって、事前に書類をきちんと用意してくれない職場は、往々にしてろくでもないということが分かりました。
ちなみに退職の申し出をした際に、上司から呼び出しを受けて開口一番「別に君が辞めることは問題ないが、今スタッフ不足で、君には解約満了日まで働いてもらいたい。君が書類に書いている解約日はたったの1週間だけど、うちの解約告知が2週間って分かっている?」と言われました。
Kündigungsfrist(解約期日)については、別記事にも記載した通り、僕はきちんと確認済みでした。なので、「僕の書類上には7日間と書いてありますし、確認しました」と反論しました。上司はパソコンを開き、僕との過去のメールのやり取りを見て「確かに!」と驚いた様子でした。
その他、僕が試用期間中に退職をする理由について、上司はイライラしているような様子で聞いていましたが、普段温厚と思われる上司がイライラしている理由は、後に分かりました。僕はきちんと退職を申し出ましたが、他のスタッフで同時期に退職をする人たちがいました。その方々は、病欠の届出を出してそのまま職場に来なくなるという方法を取っていました。僕は個人的にはこのやり方は推奨はしませんが、ドイツ国内ではよく聞く話ですし、多忙・人手不足などが原因で辞めにくい職場では有効です。
その病欠スタッフたちがいたお陰で、僕の業務にも大きく影響が出て、僕が退職しようと思う気持ちが強くなってしまった部分があったので、やや複雑な気持ちではありますが、大きく気持ちを切り替えて次の会社でしっかり頑張ることに致しました。
転職の際は「今の職場を早く抜け出したい!」「新しい職場はきっと今より良い環境に違いない!早く入社したい!」という気持ちから、本来のプロセスを飛ばしてでも急かしてしまうことがあり得ますが、焦りは禁物です。
また、「虫の知らせ」と言いますか、何となく違和感を感じた場合は、早めにその点をクリアにした方が良さそうです。人間の第六感、他人にはなかなか言えないけれど、「自分自身が感じる何か」がある場合は、他人が何と言おうと、自分自身の本能に従ってみるのも良いかもしれません。
ドイツ語にも、das Bauchgefühlという単語があります。何か判断に迷った時は、
Man sollte auf sein Bauchgefühl hören.(ド直訳;腹の気持ちを聞いてみるべき→本能的直感を信じるべき)なのかもしれません。

次の職場の契約書内容を確認した上で、現在の勤務先を去るタイミング、次の勤務先の入社のタイミングをしっかり見極めることが重要です。

僕自身は上述の3通りを経験していますが、勉強になったと思っていますし、こうして話のネタに出来ているので後悔はしていません。
当記事をご覧くださった方々は、どうかご自身の人生にとって後悔のないようになさって頂ければ幸いです。

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