【D】初めてのGOP

Leben

ついにこの日がやって来てしまいました!本日2024年1月23日は、僕にとってある意味「運命の日」です。今回は、「初めてのGOP」について書きます。

以前別の記事でも紹介致しましたが「GOP」とは、大学で行われている試験の通称名で「絶対に受からなければならない試験」とされています。この試験に合格することが出来なければ、大学を卒業出来ないばかりか、2回失敗すると「強制退学」となります。なので、どうしても落ちるわけにはいかないのです。

ちなみに僕が受けられるGOPは、冬セメスターにしか設定がなされておらず、第1セメスターである今回と、次の冬セメスターである第3セメスターの合計2回チャンスがあります。僕の学部・学科は6セメスターで卒業予定なので、GOPに受からなければ、大学生活をちょうど半分終えたところで退学となってしまうわけです。

僕が今セメスター「2023/24Winter」にて参加している授業のコマ数は、週8コマです。8つの授業に参加していますが、ほとんど「メイン講義」と「ゼミ」のセットになっているので、基本的には1教科扱いで、テストを受けなければならない数と一致しません。そのうちメイン教科の4つが「GOP」試験としてカウントされます。

僕は現在副専攻(Nebenfach)として法学部を選択しています。法学部科目の「GOP」は、

  1. 法律学入門/法の歴史/法社会学/法哲学のいずれか選択式
  2. 民法

の2種類です。選択式のものは、本当は全ての授業に参加したい内容だったのですが、他の必修科目と時間帯が被っていたり、試験が選択式で「これらのうちの1科目のみ」だったことということで、自動的に受けられる授業と試験が確定してしまいました。

僕は「法律学入門」と「民法」の試験を受けるのですが、本日は「民法」のGOPが実施され、僕にとっての初めてドイツの大学で受ける試験科目となったのでした。

試験は、授業と同様の感じで、大学の講義室にて90分間で行われます。問題の形式については、過去の記事で紹介した通りです。短答式と論述式の2タイプの問題が用意されています。

僕の人生初の大学の試験をまず受けての感想ですが…確実に落ちました!

中学や高校時代にクラス内によくいる感じの「全然勉強しなかったし、全然出来なかったー!赤点だったらどうしよー!」などとテスト直後に教室内で騒ぎ立てておきながら、実はめっちゃ勉強頑張っていてきっちり高得点をマークする輩のような「わざとらしい謙遜」ではありません。全く出来ずに落第確定です。

僕は過去の記事でも書きました通り「模擬試験」に参加しませんでした。より詳しく言うならば、参加出来る体調ではなかったのですが、模擬試験を受けなかったことを非常に後悔しています。ずっと健康体を保っていたのに、重要なタイミングで体調を崩してしまったことは悔やんでも悔やみきれない程です。「とても難しい内容だったし、受けなくて良かった」なんて直後は思っていましたが、今思えば「試験の雰囲気」を知ることと、1回打ちのめされて「出来なさ過ぎた惨めさ」を体感しておくべきでした。というのは、今回の試験に於いて、非常に大きな過ちを犯してしまったからです。

90分間のテスト時間のうち、短答式・論述式のどの問題に時間を掛けるかは人によります。時間配分には本当に気を付けて!と、講義の先生やゼミの先生にかなり強調して言われていたにも関わらず、ミスをしてしまいました。

まず短答式の問題についてですが、1問につき少なくとも4~5文は書かなければなりません。例えば「~に関する条文は民法何条か。他の関連する条文との違いについても言及しなさい」といった具合の問題文となっているからです。今回の試験では、未成年者の制限、損害賠償、「代理」の第三者への責任が問われました。実は、ここがテストに出るんじゃないかなと僕が予想をしていたところがまさに出てくれたのでした。

問題は、僕が短答式の問題でダラダラ駄文を書いてしまい、法律学のテストっぽく堅苦しい文章にしなければ!と思うものの、上手くまとめ切れず、結局「ドイツ語初心者の外国人が頑張って書いた文章」になってしまったのでした。一応僕はドイツ語はC1レヴェルと認めて頂いた上で、ドイツの大学で勉強しているわけで、さらに語学学校にはたくさん通い、語学の試験もたくさん受けて来ました。それなりに自信があったはずなのに、あまりのお粗末な文章を書いてしまった…上手く美しい表現でまとめきれなかったのが悔やまれるところです。

実はゼミの先生が、テストの直前に「一応過去のGOP問題もポータルに上げておきますので見てくださいね!」と案内してくださっていました。僕は前日の夜勤中にそれを読み、模範解答部分を事務所内で1人でブツクサ呟きまくり、暗唱しました。

実は「ここ出そうだな!」と思い、重点的に暗唱した部分が見事にそのままの問題が出てくれました!まさかのGOP過去問と全く同じ問題が出るとは思いませんでしたし、感動してしまいました。ちなみにその問題とは、民法280条に規定されている損害賠償と民法823条に規定されている損害賠償の違い、とりわけ第三者に対する責任について問うものでした。

***ドイツ民法和訳***

第 280 条 義務違反による損害賠償
⑴ 債務者が、債務関係から生じる義務に違反したときは、債権者は、これによって生じた損
害の賠償を請求することができる。債務者が義務違反について責めを負わないときは、この限
りでない。
⑵ 債権者は、給付の遅延による損害賠償を、第 286 条の追加的要件の下でのみ請求すること
ができる。
⑶ 債権者は、給付に代わる損害賠償を、第 281 条、第 282 条又は第 283 条の追加的要件の下でのみ請求することができる。

第 823 条 損害賠償義務
⑴ 故意又は過失により、他人の生命、身体、健康、自由、財産その他の権利を違法に侵害し
た者は、これによって生じた損害を賠償する義務を負う。
⑵ 他人の保護を目的とする法律に違反した者も同様の義務を負う。当該法律の内容上、これ
に対する違反が故意・過失がなくても可能な場合には、損害賠償義務は、故意・過失のあると
きにのみ発生する。

参照URL:https://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_9422638_po_201506.pdf?contentNo=1

ここでは、発生要件、契約の有無に関する内容であったり、責任の範囲の違いについて言及する必要があります。何となく日本語で理解していたつもりでしたが、いざドイツ語で定義を言えと言われたときにどうしよう!と思い、テスト直前に丸暗記した部分が見事に出てくれたので感動的でした。短答式の2問だけは恐らく完璧ではないかと言えるような答えが書けましたので、テスト結果は確実に0点ではありません。でも出来たのは「そこだけ」でした(爆)

短答式の問題は、僕の人生に於いて初めて登場した単語、勉強して見聞きした覚えのない言葉が出て来た箇所があり、「本当にどうしようもないくらい分からない」という問題が2問だけあり、他は、意味は分かるし答えはきっとこうなるはず!と思いながらも、上手く美しくまとめられず稚拙なドイツ語の文章を強引に書いた問題がほとんどでした。

随分悶々と悩んだ時間が長く、時計にふと目をやった時には、推奨時間60分と言われている論述式の問題に取り掛かれる時間がたったの20分もない状態でした。夜勤明けで頭がボーッとでもしていたのでしょうか。「記憶にない時間」があったり、随分時間が進むのが早い気がしました。

問題文を見た瞬間に「これ…僕が一生懸命覚えようと思ったけどほとんど諦めたやつだ!」と思ったのでした。見事に「こういう内容が問われるであろう」と予測はしていたので、全く対策をしなかったわけではないのですが、第三者が絡む権利関係を明らかにすべく、かなり多方面から攻めなければいけない問題だったので、時間的にも体力的にも「もう無理だ!」と早々に諦めが付いたのでした。

さらに問題は2つあり、1問目は「Gutachtenstil」で、2問目は「Urteilstil」で書きなさいとの指定がありました。「Gutachtenstil」は勉強はしたもののボロボロで、「Urteilstil」はサラッと授業では聞いた記憶がありましたが、ドイツ語学校の授業でもほぼ触れられることはなく、出来ず終いでした。

文章を組み立てて論述する時間はなかったので、一応無駄な抵抗として「こういうところを審査するべき」という要点だけを箇条書きして提出しました。日本の大学での「緩い教授」が担当のテストだったら、部分点で救済されることがあるでしょう。しかしドイツの大学ではきっとそういうことはないだろうな…と思いながらも、全く勉強しなかったわけではない!それに、一応分かっている部分はあります!という謎のアピールだけはしておきました。

試験時間が終わり、回答用紙を提出するタイミングで、周囲のドイツ人及び、ドイツ語がネイティヴであろう学生たちの答案用紙の状況を見ていると、みんな物凄い量の文章を書いているように見受けられました。今回の試験だけでなく、僕が受ける予定の試験全てがそうなっているのですが、回答用紙の紙「Klausurpapier」は自分で持ち込みをします。試験時間中に、紙をちぎる音が激しく聞こえましたし、冊子のような状態の答案用紙の束を、ドイツでは当たり前に見るかなりパワフルな感じのホッチキスで留められている様子が見て取れました。短答式・論述式部分両方を合わせてもたったの3枚程度しか紙を使わなかった僕とは比べ物にならず、ドイツ語ネイティヴとの圧倒的な差を目の当たりにしたのでした。

思い返して見れば、僕はこれまで「ドイツ語の語学試験」の筆記試験は何度も経験しましたし、与えられたテーマに対して、70分だとか90分程度で300単語程度での文章を書くことは問題なく出来ます。回答時間が60分間推奨とされている問題で、ドイツ語非ネイティヴな僕が20分足らずで太刀打ち出来るはずありませんでした。まず、問題文も結構長く問題となりうる箇所を逐次拾い上げて行く必要があるので、ドイツ語の語学試験における「読解(Lesen)」の要素も存分に入っています。

さらに僕は今回のGOPでは、ドイツ語でしっかり文章を書ききることは出来なかったのですが、「因果関係」「損害賠償の範囲」「代理」「第三者との関係」などを事細かに説明した「Gutachtenstil」の文章を書こうとすると、軽く紙5枚分程度は必要となってきます。僕は似たような問題の模範解答を、実際にKlausurpapierに丸写しで書いてみたらどんな感じになるのか…ということを実際に試し、僕の文字の大きさで5枚半を要しました。今回の試験の問題は、「その問題」からさらに一歩踏み込んだ内容に言及する必要があったため、現状の僕の状態では色々と「無理ゲー状態」でした。しかしながら、もしもこれが日本の大学で、日本語で解いて良い問題だったとしたら、きっとそれなりの点数で合格出来たのでは…とも思える状態だったので、妙な悔しさが残る結果となったのでした。

僕のいつもの悪い癖なのですが、試験が終わって出来なかった部分が多ければ多い程、勉強へのやる気が漲ります。「それでは遅い」のは分かっているのですが、僕の人生パターンは大体いつもこうなのです。だからこそ、余計に模擬試験に参加するべきだったと悔やまれたのでした。

今回は確実落第しているので、また勉強をしっかり1から頑張ります!今日は1科目だけ、さらに他の科目とは試験日程が分散されているのが救いです。この悔しさをバネに、他の科目の試験を頑張れそうな気がしています。

ミュンヘン大学(LMU)内にある、この謎の不気味オブジェに誓う!今日の僕はボロボロな状態だったけれど、次の試験では必ず合格する!見事に這い上がって見せる!と。

よく分からないオブジェですが、顔の表情が何だか明るく見えるし、ほとんど毎日見ているうちに何だか愛らしさを感じるようになりました(笑)気が付けば僕のスマートフォンの中に、何枚も写真が納まっていました(爆)

これまで自分なりに頑張って、せっかく手に入れた「ドイツ大学生活」を続けられるように、次回のテストでは挽回出来ますように精進します!

 

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